第5章 8月3日
「‼︎…まだ生きてる‼︎マイキー君‼︎」
「ケンチンを頼む!!!」
こちらを見るタケミっちに、マイキーは強く言い放った。
ドラケンが倒れてる場所は、混戦の端っこ……今なら上手く離れられる。
(え?…オレが…?そうだ…オレが…)
タケミっちは、自分よりも大きなドラケンの体を背負って、一歩ずつ外へ外へと歩き出した。
(オレが、なんとかしないと‼︎)
「タケミっち……」
幸い、愛美愛主のヤツらには気付かれてないけど……
「テメーの相手はオレだ。半間」
「あ?」
マイキーが、アタシを背中に庇うようにして、半間の前に立つ。
アタシは、後ろからマイキーの肩を掴んだ。
「マイキー!アタシなら大丈夫だよ。ソイツにだって負けてな──」
「いいから、オマエは退がってろ。腕の怪我悪化してンじゃねーか」
「!」
マイキーに指摘されて、アタシは自分の左腕を見る……さっき半間に掴まれた位置にある傷口が開いて、新たに血が流れていた。
マイキーが振り向いて、アタシの目を見つめる。
「オマエはオレのモンだ。これ以上勝手に傷付くな」
まるでマイキー自身が痛みを感じてるような、苦しげな声だった。
でもその目は裏腹に、燃えるような怒りを孕んでて……
「…………」
何やってんだ、アタシは。
結局マイキーの邪魔をして、心配させて……ドラケンのトコに、駆け寄る事を諦めさせた。
アタシは、ムキになってた心を落ち着けるように、自分の胸に手を当てる。
「……わかった。もうこれ以上無茶はしない」
これ以上心配かけさせないように、アタシはマイキーに微笑んだ。
「半間(ソイツ)は任せるね。総長」
マイキーは半間に視線を戻して、アタシに「ああ」と答える。
「オイオイ、逃げんのかぁ?和月ちゃ──」
ド
アタシに近づこうと踏み出した半間を、マイキーが鋭く蹴りつけた。
「テメーが、コイツの名前呼んでんじゃねぇよ」
重い一撃に動きが止まった半間と、アタシの視線が交わる。
アタシは、半間に向けてベーっと舌を出しながら、踵を返して別の敵に向かって駆け出した。
一秒でも早く、この決戦を終わらせて、ドラケンのトコに行かなきゃいけない。