第5章 8月3日
「ドラケン君⁉︎ドラケン君!!!」
「タケミっち…⁉︎」
アタシは半間と距離を取りながら、視線を走らせタケミっちの姿を探す。
「どうした⁉︎タケミっち」
マイキーも同様に、タケミっちの姿を探してた。
「ドラケン君が…ドラケン君が──刺された!!!」
タケミっちの声が知らせるのと、マイキーとアタシがタケミっちを見つけるのはほぼ同時だった。
地面に膝をついてるタケミっちの前には、腹を押さえたドラケンが倒れていて……その下から、地面の水に溶けるように赤い血溜まりが広がっていた。
「ケンッ!!!」
「あぁ、上手くやったか?」
半間がドラケンを見て、口元を歪めて嗤う。
コイツ…‼︎
ドッ
「ぐっ!」
カッと頭に血が昇るまま、アタシは半間の背中を蹴り付けた。
グラッと大きく揺れる半間の上体の、横を通り抜けてアタシはタケミっちとドラケンの元に真っしぐらに向かってく。
「逃すかよ」
ガシッ グイ
「っ‼︎」
半間は長い腕を伸ばし、アタシの腕を掴んで後ろに引いた。
怪我した左腕を思いっきり掴まれ、アタシは痛みに顔を歪める。
ブンッ
半間は腕を振り回して、投げるようにアタシを正面に飛ばした。
ガッ
アタシの体は誰かにぶつかって、よろめいたトコをその誰かの腕に支えられる。
「和月!」
「マイキー…⁉︎」
それは、アタシと同じくタケミっちとドラケンの元に向かおうとしてた、マイキーだった。
「和月ちゃんの肌柔らけ〜」
「⁉︎」
「半間‼︎」
半間が口走った言葉を聞いて、マイキーが強く半間を睨みつける。
「マイキー違うからね⁉︎腕掴まれただけだから!」
わざと嫌らしい言い方する半間に腹立つ気持ちもあるけど……今はドラケンのが先決‼︎
「半間(コイツ)はアタシが相手するから、マイキーは早くケンのトコに──」
「タケミっち!!!」
マイキーは、アタシが前に出るのを許さずに、ぐっと肩を抱いた腕に力を入れた。
そのまま、向こうにいるタケミっちを呼ぶ。
「ゲホゲホッ」
かすかに、ドラケンのむせ返る声が聴こえた。