第5章 8月3日
「「「あ゙ぁ゙あ゙あ゙あ゙ぁ゙あ゙あ゙」」」
敵と味方の雄叫びが入り混じり、響き渡る。
東京卍會 対 愛美愛主の、決戦が始まった。
◇◆◇◆
東卍の黒と、愛美愛主の白が入り乱れる。
「うおらあああ‼︎」
「オオ」
「あああ‼︎」
ガス ゴッ ドッ ゴ ガッ
あちこちから響き合う声、鈍く鳴る音。
普通の女の子なら、怯えて動けなくなるような光景の中で、アタシは気を昂らせていた。
向かってくる敵を殴って、蹴って、ぶっ倒す。
ガッ ゴッ ドッ
左腕を庇いながらだと中々不恰好だけど、だからって雑魚にヤられるようなアタシじゃない。
東卍(ウチ)の隊員に複数人でかかってるヤツや、背後を取って武器振り上げるようなヤツを特に狙いながら、アタシは戦い続けた。
「おらああ‼︎」
ガッ
ドラケンは頭怪我してるのに、それを感じさせない力強さで敵を殴り飛ばしてる。
ゴッ ドッ
マイキーは、何人に囲まれようとも鋭い蹴り一つで敵を沈めていた。
「二人ともさっすが…!」
アタシは味方の様子を伺いながら、乱戦の中に視線を走らせ、半間の姿を探す。
「ひゃははは」
ゴッ
耳障りな笑い声が耳に入って、まもなく見つけることが出来た。
半間は、愉しげに笑いながら東卍(ウチ)の隊員を蹴散らしてる。
「………」
マイキーを狙ってくるかと警戒してたけど、思ったよりも遠くにいる事に、アタシは安心すると同時に嫌悪感に眉根を寄せた。
半間は愛美愛主の隊員に周囲で戦わせながら、自分は好きに動き、好きに拳を振るっている。
いつも迷わず先陣を切って進む、東卍(ウチ)の総長(マイキー)とは大違い。
「女がいたぞ‼︎」
「!」
また愛美愛主の隊員が数人がかりで、アタシを取り囲んだ。
「この女人質にすりゃ、マイキーもドラケンも動けねえだろ」
「オレらでも無敵のマイキーを殺せんじゃね⁉︎」
ヤツらの許し難い言葉を聞きながら、アタシはチラッと横を見る。
「アタシを狙うのは良い手だけどね。周りに注意した方がいいよ?」
「ははっ!誰も助けになんか来ねーよ‼︎」
「みーんな目の前の喧嘩に夢中だからなぁ⁉︎」
「オイ、デカい声出されるまでにヤんぞ」