第5章 8月3日
「マイキーもドラケンもまとめて、鏖(みなごろし)だぁ♡」
(なんなんだコレは⁉︎こんなのナオトに聞いてねぇぞ⁉︎)
アタシは半間を睨んだまま歩いて行き、マイキーの隣に立つ。
マイキーが、チラッとアタシを見た。
「ユウ、オマエは退がってろ」
「んなワケいかないでしょ。これからって時に」
(内部抗争は止めたはずなのに、違う抗争が始まっちまった)
半間がまた、アタシを見て笑う。
「あーそうだ。ちょうどいいから、東卍のお姫サマも攫っちまうかぁ⁉︎」
「あ?」
「マイキー、挑発に乗らないで」
(ひょっとしてオレのせい⁉︎歴史がおかしな方に行ってる‼︎)
アタシは態とらしく溜息を吐いて、挑発するように半間へ笑ってみせた。
「アタシをダシに、引っ掻き回したいだけでしょ?今から東卍潰そうってヤツが、参謀(アタシ)を攫う意味なんてないもんね」
「…さぁー、どーだろーなぁ?」
「テメー…」
笑みを深くする半間に、マイキーが殺気立つ。
(もう、キヨマサを止めればいいってレベルじゃねえ‼︎どうしたらいいんだ⁉︎)
愛美愛主100人、半間が厄介なのは勿論、隊員もほとんどがアタシ達より上の世代で、武器を手にニヤニヤと笑ってる。
東卍は5人、結局避難しなかったタケミっち、頭怪我してるドラケン、左腕怪我してるアタシ、怒れるマイキーに三ツ谷。
圧倒的不利なこの状況……アタシは、歯痒さに苛立ちを募らせた。
早く、早く……みんな来てよ‼︎
──ボォンボォォォ
「!」
新たな排気音が、アタシ達の耳に届いた。
ファンファファ バリバリバリ
「ふーー、間に合ったか」
「やっっと来た!」
息を吐く三ツ谷とアタシに、タケミっちが「え?」と声を出し音の先へ目を向けた。
ブォンブァァ バリバリバリ ブォンブォンブォン
重なる無数の排気音が、辺りに響き渡る。
連なるランプの明かりが、アタシ達を照らした。
「ったく、こんな大ごとにしやがって…内輪モメは気乗りしなかったけどよぉ」
この場に到着したバイク群から、次々と降りてこちらに向かってくる、黒の特攻服に身を包んだ男達。
「愛美愛主相手なら思いっきり暴れられんじゃねーかよ‼︎」
「結果、今日が決戦になっただけの話」