第5章 8月3日
「タケミっち⁉︎」
何で急に止まんの⁉︎
「ユウさん、三ツ谷君…」
「あ?」
タケミっちは、アタシと三ツ谷に「駐車場です」と言った。
「さっきのトコ以外に、駐車場ってありますか?」
「…ウラの駐車場?」
三ツ谷がその方向を指差して答えると、
「そこです‼︎」
タケミっちは弾かれたように、その方向へと走り出した。
神社裏の駐車場……
「……そっか!」
「お…おい!」
アタシがタケミっちと同じ方へ走り出すと、三ツ谷も慌てて追いかけてくる。
「いきなりどうした⁉︎何で駐車場に──」
アタシは、頭の中に浮かんだ予想を、背中越しに三ツ谷に答えた。
「ケンは、エマと一緒に居るって言ったでしょ?この雨で祭りは中止だし、ケンならエマを家まで送ってくハズ」
「!あ…」
「二人の帰り道は、裏の駐車場を通るんだよ!」
今駐車場に居るかは分かんないけど、ドラケンとエマがその道を通った可能性は高い。
アタシは足を早めながら、タケミっちの背中を見つめた。
タケミっちはよく気付いたな、と感心する……家の場所はマイキーから聞いたのかな?
◇◆◇◆
林から出て、裏の坂を下り、アタシ達は神社裏にある道路に出た。
「そこ曲がったらすぐだ!」
「ハイ‼︎」
三ツ谷の指示にタケミっちが大声で返す。
アタシ達は道を駆け進み、駐車場がある方へ曲がった。
「‼︎」
駐車場に足を踏み入れてすぐ、アタシ達は目の前の光景に足を止めた。
地面に転がる、愛美愛主の隊員達。
「愛美愛主の奴らだ‼︎」
「居た…ドラケン」
ド ガッ
ドラケンを囲む愛美愛主と、愛美愛主を蹴散らすドラケン。
「ドラケン君‼︎」
「おう、三ツ谷、ユウ…タケミっち」
その光景を愛美愛主の側に立って見つめてる、ぺーやん。
「ケン…!」
ドラケンは怪我をしてるのか、頭から真っ赤な血を流していた。
「ユウ!タケミっち!三ツ谷‼︎」
「!エマちゃん」
少し離れた場所にいるエマに、アタシは目を向ける。
愛美愛主に手は出されてないみたいだけど、エマの目には涙が浮かんでいた。