第1章 東卍の参謀
「……じゃあ明日は?」
マイキーは子供っぽく頬を膨らませながら、アタシの目を見つめる。
「アンタがいい子にしてたらね」
そう言って頭を撫でてあげたら、マイキーはようやく引いて、アタシは解放された。
「マイキーに言うこと聞かせられんのは、オマエぐらいだな」
「ケンとアタシの二人、でしょ」
別れ際にドラケンとそんな会話をして、アタシはまたニッと笑った。
◇◆◇◆
翌日──
昼下がりの5限目、眠気に負けず真面目に授業受けてたアタシだけど……
ブーブー
「!ん?」
鞄の中でバイブ音が鳴り、アタシは手を突っ込んで携帯を取り出した。
パカッと携帯を開いて確認すると、マイキーからのメールが届いている。
『遊び行こ』
「どこに?」
ツッコみたい文章だったけど、アタシは迷わず席を立つ。
ガタッ
「佑川さん?」
「早退しまーす。さよなら〜」
「ちょっ⁉︎待ちなさい!」
引き止める先生の声は無視して、アタシは鞄を手に教室を後にした。
スニーカー履いて校門に向かうと、既にマイキーとドラケンが自転車に跨って待っていた。
「和月〜」
「お待たせ」
マイキーの自転車の籠に鞄を入れて、アタシはマイキーの後ろに跨る。
「で、どこ行くの?」
「タケミっちのトコ」
「あ?そうなのか?」
「さっき決めた!」
ドラケンは行き先知らずに、マイキーに言われるまま自転車引っ張って来たみたい。
「じゃあ出ぱーつ」
「ちょっと待って!」
アタシは、発進しようとしたマイキーを肩を叩いて止めた。
「アンタ、タケミっちが今どこに居るか知ってンの?」
「……学校?」
「どこの」
「…………」
知らないのにドコ向かうつもりだったのか!
「ケンチン知ってる?」
「知るわけねーだろ」
「ハァー……溝中だよ」
アタシは携帯を開きながら、二人に教えてあげた。
「溝中?」
「よくわかったな、ユウ」
「タケミっちが着てたシャツ、アタシらともキヨマサとも違ったし……何日か前に、キヨマサら渋谷三中が溝中の2年と揉めたって情報があったから」
当時の報告メールを開いて、『大溝中学校』と書かれてることを確認する。