• テキストサイズ

RECOLLECTION【BLEACH】

第2章 Gears turn(前日)



(はあ…本当はもうちょっと時間をかけたかったんだが…よっぽど張り切ったんだろうなぁ、あの子は…。)

まったく…と一人心の中で呟きながら、浮竹は霊術院の制服を着たその後ろ姿を思い返す。


そんな浮竹の様子をよそに、「いいじゃないですか」だの「若い女の子ですよ」だの周りでキャッキャと騒ぐ乱菊をあしらいながら、日番谷は机の中から承認印を取り出した。

「まあ、上に話が通ってるならうちは構わねぇが」

そう言いながら、入隊推薦状の浮竹の印の隣に、十番隊隊主の印をキュッと押す。
優秀な人材が入ってくれる分には大歓迎である。ただ、ひとつ。


「浮竹、お前の推薦なら大丈夫だと思うが…深刻なワケ有りとかじゃねえだろうな?」

捺印した書類を手渡しながら、珍しく軽口のつもりで言った日番谷…
が、受け取った相手はその言葉にギクリと身じろいだ。


「…オイ、浮竹。」

「いやあ、承認ありがとう!手間取らせてすまなかったね!」


日番谷が何か嫌な予感を察知した瞬間、浮竹はバッと早急に書類を受け取ると、不自然に笑いながら早口で言った。

「いや、ちょ」
「じゃあこれ早速提出してくるとするか!」
「待て、うき」
「2〜3日の間に本人に挨拶に来させるから!あとこれお菓子な!みんなで食べてくれ!よろしくな!」

日番谷に反論の隙を与えず畳み掛けるように言い切ると、どこに隠していたのやら、大量の茶菓子をバラバラと机に置いて浮竹は足早に出て行った。




「…………」
「…………」




十番隊隊手室に、バツの悪い沈黙が流れる。
いや、日番谷は呆れと不満が丸出しの顔のまま固まっているが、乱菊はどこかソワソワと楽しげだ。

「まぁまぁ、可愛い女の子が入ってくれるなら万々歳じゃないですか!」

横で気怠そうに大きなため息をついた上官の肩をバシバシ叩きながら、乱菊が言った。
そもそも「可愛い」かどうか何故わかるんだとくだらない質問がよぎった日番谷だが、それよりも…


「……女の問題児は一人で充分だ」

「ちょっとそれどういう意味ですか」

日番谷はギャーギャーと反論してくる乱菊を無視して自分の椅子にどかっと座り込む。

日に日に深くなる眉間のシワを抑えながら、先が思いやられる…と再び大きくため息をついた。



/ 27ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp