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RECOLLECTION【BLEACH】

第1章 PROLOGUE


「質問を変えよう。どこから来たんだい?」

警戒を解くように、穏やかな口調で問いかけを続ける浮竹。

少女はしばし戸惑うように浮竹を見つめた後、懐から紙切れを一枚取り出し、おずおずと浮竹に差し出した。

その紙切れを受け取った浮竹は、一瞥して目を見開いた。


「…西流魂街 八十地区…!?」


その紙切れは、死んだ魂魄が流魂街に振り分けられる際に配られる整理券だった。
そこには彼女の出身と、そして流魂街に来たのがごく最近であることが記されている。


流魂街は東西南北、一から八十の地区に分かれており、数字が若いほど瀞霊廷に近く、統制された居住区が多い。
逆に数字が大きいほど精霊廷から遠く、さらに環境が劣悪になっていく。

彼女の整理番号はたった数日前に八十地区に生み落とされたことを示していた。

つまり彼女は、生き残るだけでも大変な八十地区から逃れ、しかもたった数日で、遠く離れた瀞霊廷まで辿り着いたということになる。

浮竹は驚愕しながら、再び問いかけた。

「…一体どうやって、この瀞霊廷まで…」



少女は依然鋭く浮竹を探るように見据えるが、同時に躊躇っているようだった。
しばし逡巡したのち、少女がポツリと呟いた。


『…気配が』


その声はまるで、初めて言葉を発したかのようで。

ひどくかすれ、消え入るようで
しかしその深く奥底に、どこか凛とした響きを含んでいる。

初めて聞く少女のその声に、死神たちは驚きながらも、何も言わず言葉の続きを待った。


『…ずっと…気配が……
 ここに、近づくたびに、強くなって……』


一つ一つ、戸惑いながらも確かめるように、言葉を紡ぐ。


『…だから、それを辿って、
 ずっと…ただ、走って、きました』



ただ、それだけを。
どうしようもなく惹かれてしまう
自分を焦がすような
自分が追い求める全てであり、
そして同時に、強く求められているかのような


そんな、圧倒的な何かの気配。
何もわからずに、ひたすらに、
ただ、それだけを辿って、なりふり構わず走ってきた。



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