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RECOLLECTION【BLEACH】

第4章 Who is that girl?(事情)




——そう。
十番隊に、眉目秀麗・しかも恐ろしく仕事ができる新人が入ったという噂は、気が付いたら護廷隊中に広まっていた。


乱菊が「顔見せ」と称して彼女を色々な飲み会に連れ回しているのも要因の一つだが、何より、その間乱菊が溜め込んだ仕事が、いつの間にか滞りなく完了しているというのが凄いともっぱらの評判である。

しかも当の本人は謙虚だし人当たりも良いしで、既に他隊に彼女のファンがいるとかいないとか。


ミーハーな物事に関心がない—むしろ少し嫌疑気味な日番谷にとって、その辺りの事情はどうでもいいのだが。
まだ個人的に任務で関わったことはないとはいえ、及び聞く彼女の仕事ぶりには感心している。



ただ、日番谷は、紫苑に対して気がかりなことがあった。
出会った初日に自身に起こった、あの不可解な現象についてだ。

決して紫苑が原因とは言い切れないが、直感がそう告げていた。
彼女を目にすると、何故だか胸がザワザワと騒ぐ。


(——あれ以降何も起こらねえし、生活に支障もねえが…)


しかし、どうにも引っかかる。
たった一瞬の出来事だったが、頭の中に流れてきた光景が、脳裏に焼き付いて離れない。



檜佐木が去った隊手室で一人、ふうと息をついて椅子にもたれる。

(…考えすぎか。)

日番谷は遠くで鳴る終業の鐘を聞きながら、頭の中で呟く。

今後紫苑と関わる機会が増えたら、何かわかる可能性もある。
ただでさえ多忙な隊長職、細事に気を取られている場合ではないと、いったん忘れる事にした。





あの瞬間に感じた動揺も、高揚感も、







——何故か、胸を締め付けられるような切なさも。


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