第4章 Who is that girl?(事情)
吉良イヅルは語る。
「いや、本当に仕事が早くて助かってます。提出された報告書も完璧ですし。しかも、あれだけ松本さんのわがままに付き合って色々連れ回されてるのに」
とある昼下がり、紫苑が十番隊に配属されてから約1ヶ月。
廊下でたまたま日番谷とイヅルがすれ違い、先日行われた三番隊との合同調査の話になった時のことである。
調査の責任者は乱菊だったが、実際の業務は補佐の紫苑がほとんど引き受けていたという噂を聞いた日番谷が、様子を尋ねたのだった。
「松本さんはいつもの通り、あんな調子ですから…またウチの受け持ちが多くなるかなぁ…と思ってたんですが。成澤さんが何気なくカバーしてくれてましたね。まだ入隊して日が浅い分慣れない事は多そうでしたが、とにかく飲み込みが早いです。」
「…そうか。」
”あんな調子”の副官に対しては呆れ返りながらも、とりあえず異例の新人が問題なく働いているということに安堵する。
その日の夕方、日番谷へ瀞霊廷通信の取材に来たついでに檜佐木修兵はこう言った。
「この間ウチの隊の若手たちと一緒に実戦の稽古に参加してたんですけど…ありゃあ即戦力ですね。めっちゃ機転が効くんすよ。多分自分の修練だけじゃなく、戦略とか陣形の勉強とか結構してるんじゃないですかね。」
乱菊さんが最近よく飲みに連れてくる新人、の話になった時のことだ。
「あと、とんでもなく可愛いっすよね。」
「…どうでもいいだろそれは。」
「よくないっすよ。結構話題になってるんですから。」