第3章 Flash(邂逅)
「成澤、早速だがお前には松本の部隊についてもらうことにした。森屋四席の班はどうしてる?」
「昨日駐在任務から戻ってきましたよ」
「丁度いいな。突然の配属で戸惑うことも多いだろうが、遠慮なく班の上官を頼れ。皆、指導には慣れてるから安心しろ」
「そーよー。なんでも聞いてね!」
「こいつ以外にな」
日番谷が配属表を見ながら、テンポよく話が進んでいく。
紫苑はその様子を静かに聞いていたが、(最後の言葉の語気が強かったこと以外に)ひとつ気になったことがあり、思わずポツリと呟いた。
『私が、副隊長の部隊に…?』
日番谷はチラリと、配属表から目を上げた。
紫苑の戸惑いはもっともである。
霊術院を出たばかりの新人がいきなり隊のナンバー2である副隊長の側近になるのは、早急すぎる任命とも言える。
しかしその分、部隊にはバランスが良く優秀な人材が多い。
異例の飛び込みで入隊した新人の実力を見定めやすく、何か問題があったとしてもすぐにフォローしやすいというのが実際の理由だった。
それともう一つ。
「丁度補佐が欲しかったのよ。浮竹隊長ナイスタイミング♡」
乱菊とよく組んで仕事をしていた第四席に単独任務が増えてしまったので、副隊長補佐が欲しいと申し出た(つまり自分がサボるための生贄だろと日番谷は思っている)のも決め手の一つだった。
何にせよ十番隊にとってバランスの良い配置ではあるため、日番谷は乱菊の後に続ける。
「霊術院でのお前の評価は聞いてる、充分務まるはずだ。
——まぁ、慣れるまでは多少大変かもしれねぇが」
日番谷は隊長として、紫苑に真っ直ぐ向き直り言った。
「それまでは、俺も含め隊の連中がサポートするから、自分なりに励め」
「——はい」
紫苑も、そんな日番谷を真摯に見つめ返した。