第1章 奴隷
「おい、立て」
顔を上げると自分の首枷の鎖を引っ張られていた。
恐怖で足がすくんでいると、
「立て!!」
狼狽しながらも立ち上がると商人はロザリアに黒い布で目隠しをした。
鎖を引っ張られるまま馬車を降り、引っ張られた方向に進む。
自分は今から死ぬのだ。
突然連れ出され、金切り声を上げて死んでいったあの女性と同じように死ぬのだ。
何だかだんだんめまいがしてきた。
じょろろろろろろ……
気づいたら放尿していた。
いつの間にか目から涙も出ていたようで目隠しの布をびちょびちょに濡らしていた。
指先の感覚がなくなり、足に力が入らなくなっていった。足がもつれてその場に倒れる。頭がぐるぐるふわふわして、気が遠のく。
ああ死ぬんだ
意識は深淵の奥に落ちていった。