第1章 奴隷
ガラガラガラ…ガタン…ガラガラガラ……
ロザリアを乗せる商人の馬車が荒れた道を進む。
鉄の首枷と手枷が揺れに合わせて鋭く彼女の肌を傷つけた。夜の冷気は何も身にまとっていない体を鋭く刺した。辺りはうつむいたまま動かない裸の人間ですし詰めだ。
ここにいる人は皆、奴隷として売られる商品だ。
私達は銀と引き換えで観覧に来た客に連れられて行く。何の前触れもなく連れていかれれば、数分後かなぎり声が響き渡る。
今私はどこにいるのだろう。
外の様子はほとんどわからない。
私は先日拉致され、目を覚ましたらここにいた。
もしかしたらこのまま殺されてしまうのかもしれない。
「いやだ。死にたくない。」
そっと口から漏れた。
膝を抱え、手に繋がれた手枷の鎖がか細く鳴った。