第6章 オマエがママになるんだよ
『さとるくん、それはチョット……私、赤ちゃん産んでないから出ないよ…?止めなさいね?』
小さな男の子ってこんなもんなの…か?未知の領域になんて答えれば良いのか不明でやんわりと断ったつもりなんだけど。
きらきらと輝く表情で見上げられてしまった。
「出なくても吸って良いって事だよね?だって今の僕は子供だもん、子供はおっぱい吸って良いんだしね!」
なにか違和感を感じた瞬間に、小さな手の割に揉むテクニックにまた違和感。
興味本位の触れ方じゃない、これは相手を"気持ち良くさせる為の"触れ方。ねちっこく全体を楽しみ、先端をくにくにとつまむ様にするやり方は。
『……っ、』
ぶわぁ…っ、と一気に顔に熱が集まる。まさか、まさかのまさか…!この目の前の少年って!
ちゅう、ちゅう…と吸い付く姿は子供そのもの。けれどもその乳首を攻める口内の舌使いはぎこちなくなんてない、隠しようがない。大人である悟がやる前戯そのもの。
確信に言えるこれは。
『違う、違う違うっ!子供の手付きじゃないっ!やだ、馬鹿っ!中身思いっきり大人の悟だーっ!』
ちゅぽんっ、と乳首から離れた悟はにこ、と笑う。子供の顔で笑うから天使だけれど、奥には小悪魔が見え隠れしてる。
「バレちゃったらしょうがないねー、悟君として育児体験させてたんだけど……続きは赤ちゃんを作ってからにしよっか?」
片手で揉み、再び吸い付く悟にちょっと怒りがこみ上げる。そこへ浴室前にやって来る足音。ドスン、と重みのある気配。あれ、高専に豪鬼居ましたっけ?"滅"されそうだよ、悟。
「悟……?やっぱり子供のフリをしてたって事だね、私は怪しいと思ってたんだ…。前髪のオジサン悲しいなあ~?」
おどろおどろしい声色。ただ、配慮からか浴室は覗かない、ドアの隙間から夏油の背中が見える。
そんな中でむにむにと胸を揉む悟VS剥がしてはまた揉まれるの死闘を繰り返してバシャバシャ騒がしい浴室の浴槽内。悟は私を見上げてる。
「やっべ、傑にオジサンって言ってたんだった……ままぁ、僕の事、助けて…?」
きゅるん、とした瞳で見つめる悟。胸の奥にまだクるものはあるけれど、正体を表し数秒前に愛撫とも思える行為をしてた見た目は子供頭脳は28歳の特級呪術師。未だに乳を追い求めるトレジャーハンターに思わず『チッ、』と舌打ちが出てしまった。