第4章 抑えろッ!母性!
『ほら!悟君!仮面ライダーだよ!』
「やだ」
『こっちは?ドラゴン!モンハンのコラボ服だよ、ドラゴン格好良いよ?クールジャパンだよ?』
「俺が着たいタイプじゃないし」
『えー?』
意志しっかり過ぎでは?と私の幼少期…何でもうんうん欲しい欲しい言ってたイエスマンならぬイエスキッズ時代を思わず振り返る。これは悟特有の個性かあ?
じゃあ、パンツとかもウルトラマンのブリーフとか選んだらやだ、と拒絶されるんだろうな。あっぶない、本人連れてきての買い物で良かったわ。着替えよーやだ、着ないで終わる未来もあったってワケ。
大人顔負けの子供服での服装選びをした悟。
選び終えたら会計をして、試着室で私は買ったばかりの服に着替えて制服を買い物袋に踏めこんで店舗を出た。
店舗を出たら今度はそんな距離も離れてないファミレスでご飯食べて帰れば良いよね。と紙袋を持った手の反対側に居る斜め下の悟を見る。彼は見上げて空いた手をきゅっと掴んだ。
「うん、その服似合ってるよ、おかあさん」
『ン゙…、だ、だめそういう風に呼んじゃ…っ!私の中の母性が出てくる……せめて親戚のお姉ちゃんくらいに設定落として』
「しょうがないね、せめて呼ぶ時は小声にしておくけど……でもおねえさんくらいの大人なら俺くらいの子供じゃなくても赤ちゃんくらいは産んでいておかしく無さそうだけど予行練習になったんじゃない?」
じっと見上げる悟に親子プランは悟が元に戻ったとしても引きずりそうな気がして止めさせた。息子を探しそう、でっかい190センチの男を前に『悟君…?悟が…っ!息子が居ないの…っ!』とかやりそう…そこまで重症にならないうちに止めさせないといけない。大人の悟ならそんな私を見て「息子?じゃあ作ろっか!10月10日待ってね、産ませてあげる!」と行動に移しやがる展開が用意される。まだ学生として呪術を私は学び経験しなきゃならないんだ、その展開は待って欲しいのさ?現在進行系で結婚を迫られていても、家族計画は慎重にしたいわけで。
『……大人には色々と段階というものがあるんだよ、悟君』
「へー、大変だね、大人って。お腹空いたんだけどこの後ご飯食べるんだよね?まさか奢ってくれるんでしょ?おかあさん?」