第7章 新年早々出久くんとイチャラブ姫始めしたいなと思う話
暗がりの中で同意を貰った後、枕を運び緑谷の隣に寝っ転がる。シングルベッドだから当然二人が寝るには狭いが、寄り添っていればまず大丈夫のようだ。甘えるように頭を胸板あたりに埋めさせれば彼は素直に腕を背中に回してくれた。
途端に、確かなぬくもりと優しい匂いが鼻を抜ける。一人で寝るより全然温かい、落ち着く…。在り来たりな恋愛ノベルの描写みたくこの時間が止まればいいのにと、ひたすらその存在感を心に焼き付けるように抱き締め合った。
『出久くんの好きなものに囲まれながら眠るって、なんか神秘的…』
「えっと、つまり?」
『多分、良く眠れそう……』
寝不足でインターン初日ヘマなんかでもしたら元も子もないだろう。早速仮民といこうと秘多が先に瞼を閉ざした。しかし眠ろうにも眠れず、淡くドッドッドッと言う音が聞こえて睡眠を妨害される。もしかして…と、好奇心で緑谷の胸に手の平を置くと彼の身体がピクリと引き攣った。
『出久くん……』
「……」
『このままだと眠れない?』
拳に伝わる激しい鼓動に、クスリと唇の端に笑みを浮かべた。
「っ…ねぇ、もしかして誘ってる?」
『寝るだけだよ』
「絶対嘘でしょ??さっきから足触ってる…」
さて、何のことかな…。シラを切りつつ自身の爪先でスリスリと緑谷の足を撫でた。元々冷え性だった為、凍てつくような冷たさで素足を触れられて僅かに身を捩っているのが分かる。身体を密着させながら温もりを探るように手をシャツの中に忍び込ませると、彼の口からひゃあーっと言う奇妙な声が出た。
「う、冷たっ…」
『ふふ、出久くんあったかくて助かる』
本当、湯たんぽみたいで温かい。安眠出来る心地良さに浸りながら冷え切った手を肌の温度で温める。ぴたぴたと柔く触れる度に、緑谷の身体が面白いくらいにヒク付いた。
「家はダメだって…前に言った、よねっ」
『今から何されると思ってるの…?』
「平たく言えば……エ、エッチなこと、とか?」
遊び感覚のスキンシップでもまだ慣れないのかと秘多は片眉を上げた。経験を積んで性に対する緊張なんてもうすっかり克服したと勝手に思い込んでいたが、どうやら見込み違いだったらしい。
それを示すかのように、下腹部辺りにもっこりしたモノが当たっているような……。もしアレがそうだすると、恥ずかしさで居たたまれない気持ちになる。