第7章 新年早々出久くんとイチャラブ姫始めしたいなと思う話
ハードな訓練やらで忙しいだろうし、ただの荷物受け渡しの為呼び出すのも恐れ多い気がした為、誘うのを控えていた。たまに連絡はくれるもの、昔ほど盛り上がるような内容はなく近況報告か挨拶程度が殆どになった。全くどうしたものか…いくら自由人と呼ばてれる自分でもこれは悲しいっ。
しかし、その薄い内容のチャットの中からあることを思い出すのだ。確か正月を機に、雄英生徒達は今日だけ我が家への帰宅を許されているのだと、以前緑谷が通話で言っていたような気がする。記憶が正しければ今地元に戻っているだろうか…?気になり、秘多はアプリのチャットを開いた。
『どうしてるかな……』
きっとご家族と有意義な時間をお過ごしなんだろう。久しぶりの再開なのだから邪魔するのは悪い気もしたが、戸惑いながらも指は通話ボタンに伸びていた。それとよく見たらメリクリを送り合ったのが今年最後のやりとりとか地味に悲しいんだけど…。
何事もなく年が終わってしまう、本当にこれで良いのかと踏み出したくても踏み出せない乙女のように秘多はスマホをじっと睨み付け躊躇した。
『っ……、あっ』
アルコールがより回ってきたせいか、立ち眩みで咄嗟に通話ボタンを押してしまった。通話画面に映るオールマイトのアイコンと緑谷出久と言う文字を数秒くらい見詰め、ちょっと挨拶するだけだと内心言い訳しながらそのままスマホを耳に当てる。友人相手に何を遠慮する、いつもなら自由気ままに彼を振り回してきたじゃないか。
♫~~~♫~~~
♫~~~♫~~~
♫~~~♫~~~
「もしもし、密ちゃん?」
数回程通話音が鳴った後、懐かしの上擦った声が鼓膜に届く。まさか直ぐ出てくると思わなくて、思わず唖然としてしまった。向こう側から来る雑音に通話時間がちゃんと経過しているという事実だけで変に胸が大きく脈打つ。緊張で声が裏返ないことをちょっとばかり願いながら、肺一杯に冷えた酸素を取り込んだ。
「もしもし??いるの、密ちゃん?」
『あぁ…もしもーし出久くん、久しぶりぃ。元気してたー?』
「久しぶり、元気だけど…どうしたの?」
『ううん、なーんも。今年最後の日だし、ちょっとお話ししたかっただけよー』