第4章 折寺中を訪れたら出久くんとわいせつ行為をしちゃう話
愛想よく笑っている秘多に対して、緑谷は表情を硬くする。そして彼女の肩に手を置いた後、互いが向き合うように自分からその身を少し離した。
「これから作っていこう…!ここだけじゃなく…もっと色んな所でっ」
痺れを切らして発せられた声に秘多が見開くと、視界いっぱいに緑谷の真剣な顔が入り込んだ。訴え掛けるような強い眼差しが彼女の心を動かし、一瞬言葉を失わせる。
『……』
「あの、僕とで良ければだけど…」
自分で言っておきながら、無性に恥ずかしくなる緑谷がオドオドとはにかむ。過去の弱気な彼なら、こんな風に眼を合わせて、思ったことを口にすることすら出来なかっただろう。
末永く見守っていたい…逞しく夢に向かって走っていくところを。不意にそう思ってしまった。
『出久くんの恥知らず……』
咄嗟に出た返事に、緑谷の目が瞬いた。
「えっ…?ぼ、僕何か間違ったことでも?」
『…キス、していいかな?』
「へ??…な、なななんでっ?」
どこまでも人が良すぎる少年を見詰めたまま、含み笑いが零れる。
過ぎ去ってしまった時間を、これからも一緒に過ごしていけばいつかは埋まるだろうか…。
『凄くときめいたから…』
チュッ
緑谷がまたテンパる前に、秘多は身を乗り出しそそくさと唇を奪う。彼がモゴモゴと何か言っているようだが、それを完全無視して自由気ままに柔い粘膜を食んだ。
「ん…んんっ!まっ…んぅ♡」
『んむ♡ふっ…んっ』
つい癖が付いてしまったのか、秘多はキスをする度に、自分から舌を入れて相手のを積極的に絡めてくる。
キス自体嬉しいのだが、これで抑えが効かなくなったことが何度あったか。ヌルりと歯茎や上顎を舐められ、さらには舌を吸い取られる。身を捩らせても膝上を跨られている為、動けない。
「んっ、お願いだからっ、う…♡場所考えてっ、んん」
閉められた教室とはいえ、言葉にならない声と音が漏れないとは限らない。こういう時に限って、彼女はまるで獲物を無遠慮に喰らう捕食者だ…。
クチュクチュ♡…チュ♡チュル♡
『んっ…はぁ♡こういう所だと、ドキドキするね』
「っ…君は本当に、何を考えたらそうなるの?」
犯し尽くされた口内が解放されて、唾液の糸が僅かに二人を繋いだ。