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緑谷出久と裏の青春をするシリーズ

第4章 折寺中を訪れたら出久くんとわいせつ行為をしちゃう話


目尻を軽く擦る仕草を見せる秘多に、緑谷が慌ただしく駆け寄ろうと立ち上がるものの、彼女に阻止される。もう少しそのエモい姿を見ていたい…我ながら溺愛が過ぎてるか。

『当時は一度も話したことなかったでしょ?だからだよ』
「そっか…うん、なんだか不思議だね」

本当に不思議……。教室一番の小心者で、いつもノートでコソコソしてた少年を、真後ろの席から見ていただけだったから、こうして面と向かって話せている今が、彼女にとってきっと現実味のない夢のように思えるのだろう。

個性という前提がない人間を嘲笑う声に耳を塞ぎ、傍観するだけの日々が堪え難かった。だからあの時、勇気出して声を掛けたのだ。自分でも驚いた。案外すんなりと思うまま言葉が出たし、悪ふざけにも付き合ってくれた。

どうしてそれをもっと早く出来なかったのだろう?不覚にもしんみりと胸がつまる。感慨深いあまり鼻の奥がツンとなるが、秘多はその並々ならぬ感情に従い、緑谷に近づいた。

ギュッ

「え、な、なななにっ??密ちゃーー」

突然抱きしめられたことに、緑谷は顔を赤らめて硬直した。

『辛いことを思い出させるよねっ、なんかごめん……無理矢理連れてきたりして』
「そ…そんなことないよっ」

どういう理由でその行動に及んだのか、理解できずにいたが、秘多の声色が少し哀しげだったのは確かだった。優しいぬくもりに触れ、緑谷は自然と心拍数が上がっていくのを感じながら、行き場のない両手をとりあえず彼女の背中に回してみた。

『…爆豪くんにノートを焦がされたこと覚える?』
「どうしてそれを?」
『あの時、見てた…本当は止めてあげたかったけど、自信なくて』

そして「助けてあげられなくてごめん」と自身の顔を肩に擦り寄せてそう呟く彼女に、緑谷はまた困惑する。あの件に関して何一つ悪くない人に立て続けに謝られて、後ろめたく感じるものの、彼はせめて大丈夫だよと秘多に言い聞かせるように背中を摩った。

『もう一つ重ねて謝るね、私嘘ついた…個性の手掛かり。単に私がここに来てみたかっただけ…今の君は雄英での暮らしが楽しいだろうけど』
「密ちゃん」
『ふふ……変でしょ?出久くんと私の思い出って、何一つないんだよね…ここには』

振りまわしておいて、くどいと思われても仕方がないかな…。
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