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緑谷出久と裏の青春をするシリーズ

第4章 折寺中を訪れたら出久くんとわいせつ行為をしちゃう話


余程知りたがっているのか、だっまりしている少年に思わず秘多が含み笑った。

『そうだ、時間あるし…良ければ訪問しに行ってみない?』
「訪問って、どこへ?」

腕を解く緑谷が首を傾げると、突然手を引かれる。

『折寺中学校、何か思い出すかもしれないよ?』

一言もオーケーと言っていないのに、彼は抵抗虚しく、秘多の後を追う。

確かに個性について知りたいことはあるが、本当に地元の中学校に答えが眠っているのだろうか?それと「手がかりを探す」ではなく、「思い出す」という言い回しが気になる。意図が読めず、そのまま緑谷は彼女に連れまわされるのであった。





…ーー

わざわざ電車通勤で40分、何かと顔が効いたのか、二人はアポなしにあっさりと入校許可証を入手し、勝手気ままに校内を徘徊していた。

休日だから人はそこまでいないが、古めかしい教室の風景を懐かしむ秘多とは対照的に、緑谷は落ち着かない様子で辺りを見渡した。

『わ…全然変わってない。黒板のこの辺の傷とかまだ残ってる。そっちはどう?』
「いや、特に…」

思い入れが浅いのか、得のこれといったものがない。自分が楽しそうにしてても、生返事しか返してこない緑谷に少々不安を覚えた秘多はある特定の位置に近付く。

それもそうか、ここには大して良い思い出がない…。実際のところ、この場で彼と話せたのも、今日が初めてなのだから。

『出久くん、ここ座ってみて』
「ちょっとっ…勝手には」

指定された机を見た途端、緑谷は少し戸惑った。

『大丈夫、少しだけ』

左から3番目、4列目の席、緑谷が当時座っていた机だ。
見た感じ新しい使用感がある、今はきっと誰かに使われているのだろう。他人の机に許可なく座るのは気が引けるが、秘多に強いられて仕方なく彼はその椅子に腰掛けてみた。

特に何の特別性のない無機質な机、それでも良くここに突っ伏して、毎日のようにヒーロー分析をノートに書いてたっけ…。

『……っ』
「ん?」

短い回想にふけていると緑谷が少し笑って顔を上げれば、何故か呆然とこちらを見詰めている彼女に気付く。どうしたんだろうと思い声を掛けると、はっと我に返った様子で瞬きをした。

「どうしたの?」
『出久くん見てたら、エモくて…ちょっと泣きそうになった』
「な、なんで??」
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