• テキストサイズ

緑谷出久と裏の青春をするシリーズ

第3章 我慢出来なくて朝っぱらから出久くんと野外でガッツリしちゃう話


物凄い量の手汗でスマホを握りしめたまま、緑谷は緊張気味に返事を待った。たかが通話一本でこんなビクビクすることがあるだろうか?

『そう?それじゃ、指定された場所で会おっか』
「うん…でもいいの?せっかく休みなのに」
『いいの、休日の早起きもたまに良いかなって』

ヒーロー科の私生活とかちょっと気になってたし、と付け加えて言う彼女に緑谷が愛想笑う。

「観てても面白くないよ?普通に身体動かすだけだから」
『それでもいい。正直なところ、出久くんの朝練が見たいと言うよりは、その……』

やっと気持ちが落ち着いたところで、二人の間に僅かな沈黙が漂う。気になって緑谷は彼女の名を呼ぼうとした刹那、秘多の声が耳元で囁く。

『……君に会いたいな、なんて』
「へ?」

えっ……?え?
一瞬にしてフルフルと緑谷の身体が硬直し、顔全体に熱が集った。なんて返事して良いのか分からず、結局途切れ途切れの母音だけが漏れ出す。

『ふふ……おやすみ、出久くん』
「オ、オヤスミナサイ……」

通話はそこで終わり、後に麗日や芦戸に冷やかされたり、問い詰められるハメになったのはまた別のお話。





…ーー

『お待たせ、出久くん。今日も頑張ろうね』
「ありがとう、こんな朝早く来てくれて」

そんなに経ってない筈なのに、なんだか久しぶりように感じる。こんなまだ日がさほど出ていない時間に待ち合わせとはまた変わった再会だ。それと秘多の制服姿しか見た事なかったからか、私服が新鮮過ぎて心が妙に弾む。

"私は見守ることしか出来ないけど、沢山応援してるから"と元気付けられた緑谷は早速次のセットプランに取り掛かった。先にランニングで暖めた身体を縄跳びや腕立て伏せで鍛え、そして締めに太極拳で整える。最終的に何のヘマをすることなく彼女に見守られながら事終わったのだ。

『お疲れさま』
「ありがとう。ね、普通だったでしょ?」

汗だくになっていた自分にタオルが差し出される。秘多にお礼を伝えながら受け取ったタオルで顔を拭くと、彼女が微笑みながら首を振った。普通にトレーニングしてただけなのに、格好良かった、観てて楽しかった、とお世辞を並べられて少し気恥ずかしい。
/ 225ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp