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緑谷出久と裏の青春をするシリーズ

第2章 門限破ってまで救けに来てくれた出久くんと濃密な一夜を過ごす話


『無理矢理服を脱がされただけ…』
「あっ……」

取り乱した少年に秘多は首を横に振る。監禁はされていたものの、暴行を加える行為はなかったと説明するが、緑谷にとってそう簡単に安堵出来るような内容ではなかった。

もし遅れを取っていたら、彼女は帰らぬ者になっていたかもしれない…、考えるだけゾッとする。

『正直言って怖かった、何されるか分かったものじゃないし。でもーー』

ギュっ

『君が来てくれたから、もう大丈夫…多分』
「秘多さん?」

細い両腕が胸板に回され、背中に温もりが伸し掛かる。緑谷は自分は今抱きしめられているのだと分かった途端、顔が一気に熱した。素肌に直接伝わる感触は柔らかく、良い香りを漂わせるそれは懐かしい記憶を呼び起こす。

あの時と一緒だ…。

『わ……凄いね。出久くん、見ないうちに逞しくなってたんだね』

凹凸としている男性らしい肌や引き締まった筋肉に感心する秘多に触れられて、抵抗はしないが緑谷はくすぐたそうに身じろいだ。もっと触れられたい、触れたい…、そんな不潔な衝動をグッと堪える。

どうしてそんなことをしてくるのか、折寺にいた頃から不思議でならなかった。恋愛経験のない自分が言うのもあれだが、心から慕っている人じゃない限りこんな接し方普通しないはずだ。実際どう思っているのだとか、もしかしたら彼女に好かれているんじゃないかと変な期待がばかりが積もる。

『心臓、物凄いバクバク言ってる…』
「秘多さんっ」
『ふふっ……もう名前で呼んでくれないの?』

抱きしめる腕に力が込められ、自分じゃないもう一つの鼓動が背中越しに伝わってくると、緑谷はゆっくり振り向いた。今にも目眩がしそうな、自分と同じくらい頬を紅潮させた秘多と目が合う。その瞬間から、心臓が一際大きく波打ち彼の中の何かが弾けた。

どうして君まで、そんな顔をするんだっ…。
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