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緑谷出久と裏の青春をするシリーズ

第9章 オリジン組メンバーの眼を盗んで出久くんと濡れた色事に耽る話


『痛くない?傷、増えてる…』
「ううん…平気だよ、いつものことだし」

ヒーローに怪我は付き物とでも言いたいのだろうか。軽症で済んだからどうってことないとほざいている本人を聞き流し、任務先で得たであろう真新しい傷をなるべく避けながら汚れを落としていく。

『あぁ…思いっきりやっちゃってるね』

鮮血に滲む青々とした痣に、浅く掻き切られた皮膚に浮かび上がる紅い線。季節が移ろうに連れてボロボロになっていく彼の身体に触れたのは今日で何度目になるだろう。慈しむように肩甲骨をなぞってくる秘多に、緑谷はどこか不思議そうに視線を泳がせていた。

「どうかしたの?」

夢を応援する側とて、友人の将来に何一つ不安がないと言えば断然嘘になる。もう無茶はしないでほしい。他人のことよりもっと自分を大切にしてほしいと明け透けに言ってしまいたいのが本心だが、痛々しくも見えるソレらはヒーローの勇気が誰かを救った証跡でもあった。あの時だって、自分の救ける為に彼は……。

チュッ…ーー

「っ!!」

傷の意味を知っているからこそ堪らなく尊い。それに、本音を伝えたとしてもこのヒーローは理想を掴む為ならば死に物狂いになってでも邁進し続けるだろう。彼はそう言う人だから…全く、どれだけ人を困らせれば気が済むんだか。心配するこっちの身にもなって欲しいものだ。

薄らと石鹸の匂いがする痣を癒すように、啄む程度で優しく吸い付く。傷口が消える訳でも、ましてや痛みが和らぐ訳でもないと分かっていても、秘多は何度も愛おしげに口付けを落としていた。

これもまた聞いた話だが、キスをするだけで治癒が出来てしまう、そんな素敵な個性を持った人物が雄英に存在するのだとか。その力が自分にもあればと願っておきながら悪戯に肌を軽く喰んでやると緑谷の口から微かな呻き声が溢れでる。

「ぃ“っ…密ちゃん?」

甘えたな幼女みたくぴたりとその広い背中に自身の身体を寄せ、素肌の穏やかな温もりに安住する。これ程までに自分は弱くなっていたのか?愛瀬を重ねる度に何度情を交わしても満足出来ず、思いっきり触れてしまいたいと言う衝動に揺さぶられてしまう。

『出久くんといる時だけ、私ダメになるみたい…』
「っ…」

心の内に秘めた言葉さえうわ言のように零れ出る。羞恥を少なからず抱き、そっと振り返る緑谷の双眸と目線が合った。
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