第8章 誕生日にアメコミ小ネタかました出久くんとサンデー作りする話
正直な所、どうなるかは自分でも分からない。後処理や時間のことも考えなくてはならないが、ひとまずそれは置いといて…プレゼントはプレゼントらしく綺麗にデコられて貰おうか。
「はぁ……緊張するなぁ」
『大丈夫、こう見えて絵心ある方だから』
「そ、そう言う問題じゃっ……」
始める合図をするように秘多が前に屈みそばかすに自身の唇を触れさせる。ある程度ムードも欲しかった為、微かに身じろぐ緑谷の頬に手を添えると何方ともなく互いの唇を優しく合わせた。甘い情熱を感じさせる接吻をやっぱりあの場でして見たかったな…。
「んっ……」
少しだけ重心を預ける秘多の身体を緑谷が抱き留め、自然と抱き合う姿勢になる。若干まだ強張りのある粘膜に吸い付き、何度か交わしていく内に両者の吐息に熱が篭り始めた。当然のように舌を差し込むと、横たわっている彼は動揺することなく自分のソレを受け入れ自ら絡ませてくれる。より熱く、深く、そして濃密に互いを味わう。
ちゅぷちゅぷ♡くちゅくちゅ…♡
『んふ…んっ♡はぁ……』
舌触りを確かめながら深まり合うキスは、やがて荒々しいものへと変わり、身も心も蕩けさせる。摘み食い程度のつもりが、やはり貪り合うことに慣れてしまっているとストップを掛けるのは少々難しかった。それでも、服の上から肌を弄ろうとする緑谷の両手を引き剥がし、何とか理性の糸を保たせる。
『んはっ…出久くんは触っちゃダメだよ』
「えっ…?」
『兎に角ダメ』
そう秘多が言うと緑谷はどこか物足らなそうに眉を細めた。残念な気持ちは一緒なのだが、今激情に任せて頂いてしまったらわざわざ用意した食材等が無駄になってしまう。
『少し冷たいと思うけど我慢ね』
ぎこちない頷きを同意と捉え、早速スプレー缶を彼に向けてるとシューっと音を鳴らした先端から純白が噴射される。肌に付着したクリームの冷たさで緑谷の身体が硬直するのを尻目に、手慣れた手付きでそれを塗っていく。
お菓子作りなんていつぶりかな…。昔、イブの楽しみとして良くクリスマスケーキの飾り付けを任されたことを思い出す。自分で言うのもあれだが、歳の割に結構上手な方だった。しかし、今回のはハードルが高く、通常のケーキと違いサイズも形も歪で、デコるのが割と難しい。