第8章 誕生日にアメコミ小ネタかました出久くんとサンデー作りする話
それでも、言葉の理解がちゃんと出来るように秘多は再度口を開いた。
『コレを君の身体に盛り付けて、出久くんのこと食べてみたい…』
「……へ?」
そんなことを淡々と口に出している自分が、ただの変質者に聞こえてくる…。恥じらいをひた隠しに緑谷の視線を捕らえると、彼の凍った顔は一瞬にて赤く染め上がり声が震えてしまう程の動揺を露わにした。
「僕を……た、食べる?」
『実際に食べないからね。意味くらい分かるでしょ…』
「単に僕が作るだけかと思ってっ…まさかそっち方面の……う、うん…そりゃ、そうだよな。密ちゃんに限って、そんな簡単に…」
『ふふっ、私が満足するとでも?』
悪戯っぽく言う秘多に対し、滅相もございません!と言うような勢いで緑谷は首を大きく横に振った。その様子だと拒絶する意思はないようで何かと好都合だ。
『それで?』
「も、もも勿論…!君の要望に応えるつもりだよっ。ただその、心の準備というか…知識も浅くてどうすればとかで……」
『心配はいらない、私に任せて』
想像するだけで不意に楽しい気分になり、秘多はクロスが敷かれた大き目のダイニングテーブルに歩み寄った。
『裸の状態でこのテーブルの上に寝転がるだけで良いから』
「テーブルに??たっ、たまにユニークなこと考えるよね……密ちゃんって」
『そう?普通だと思うよ。時間そんなにないし…今から始める?ヒーロー』
表層的に取り澄ました顔で言う自分に緑谷はオドオドとするが、暫くしてから思い入った決心を眉に集めた。
「っ…わ、分かった」
受けて立つと言った堅い意志が少年の瞳から感じられ、つい口元が綻ぶ。早速取り掛かろうとボクサーパンツ以外の服を全て脱いでもらい、テーブルの上に緑谷を横たわらせる。頑丈な素材で出来ているおかげか、自分達が乗っても一応大丈夫らしい。少しでも落ち着かせようと深く呼吸をする彼を横目に、デコレーションに使う食材を小皿などに移し替えメインとなる胴体の傍に置いた。
『室温大丈夫?寒くない?』
「う、ううん…平気だよ」
クリームのスプレー缶を片手に緑谷を愉しげな眼差しで見下ろす。その動作だけで彼の喉が僅かに鳴り、余程この状況に緊張しているのだと窺えた。それもそうだ、未経験者同士今から特殊プレイを行おうとしているのだから。