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緑谷出久と裏の青春をするシリーズ

第8章 誕生日にアメコミ小ネタかました出久くんとサンデー作りする話


『心配しなくても、ちゃんと受け取れたでしょ?』
「でもっ、結局失敗したことに変わりないから、時間はまだあるし…せめて何か埋め合わせを」
『いや別にーー』
「今の僕は君だけのヒーローだよ?して欲しいことある?」

つまり好きなようにしていいと?遮られた秘多が悩ましく腕を組んだ。自分に欲がないと言えば嘘になる。緑谷となんて沢山あり過ぎて、心の中のやりたいことリストですらきっと収まりきれない。でも仮に要求したとして、相手が聞き入れてくれるかどうかが……。

「なんでも言ってっ…!」
『んー……』

今の緑谷の意気込みからしてそう易々と引き下がって貰えるとは思えない。ヒーローを好きに出来る、絶好のチャンス……か。

『本当になんでも…?』
「う、うん?」
『…引かないって約束してくれる?』





…ーー

「アイス、シロップ、生クリーム、お菓子作りに使うトッピングに、果物…」

道すがらに購入した食材等を、隣にいた緑谷が不思議そうに見詰めていた。

"出久くんのアイスサンデーが食べたい"。その時は甘い物が食べたい気分で咄嗟に出た願い事がソレだった。当の本人はどう捉えたか定かではないが、おそらく本当の意味を理解していないだろう。

「僕が作ったアイスが食べたい、そんなことで良いの?」
『…うん』

それはそれで良いアイデア、でも違う…。やはり考えなしに要求を呑んだのかと秘多は内心苦笑いを浮かべていた。親は現在出張中で自宅におらず、自分たちしかいない。意図的に招き入れられた時点できな臭いと彼は思わなかったのだろうか?

「早速作ってみるよ。カップは二つでいい?」
『あぁ…その必要ないかな』
「?」
『"出久くんを含めて"材料は揃った』

何れにせよ、願い事を取り消すつもりはない。好きにして良いと言い出したのは彼自身なのだから、ヒーローは市民の期待に応えなくては困る…。秘多は首を傾げる緑谷に詰め寄り、種明かしをするような素振りで指差した。

『今から君は、私のバースデーアイスサンデーになるの』

口元を吊り上げながらそう告げると案の定、彼は呆然として身じろぎもしなかった。まぁ、当然の反応だ。意味不明なことを突然言われて大抵はは?っとなるだろう。
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