第5章 ただいま現代
「いつからこうなっちまったんだろう?」
「は?」
「俺は今や稀咲の兵隊だ.....」
「稀咲って....」
『稀咲鉄太!?』
「東卍の奴らはみんな稀咲の言いなりだ。」
『っ!!』
「マイキー君なんてもう何年も会ってない。」
「アッ君.....今からでも遅くねぇよ!東卍なんて辞めちまえよ!」
『そうだよ!このままだとアッ君.....使い捨ての駒にされちゃうよ!』
「無理だよ....」
震える声でアッ君はそういうと、刺青が掘られた腕をキツく掴む。
「怖ぇーんだ。ただひたすらに稀咲が....」
「アッ君」
「タケミチ、アオバ。マイキーが変わったのはドラケンが死んでからだ。」
覚悟を決めたように語り出したアッ君
彼のその一言にタケミチは衝撃を受けたような表情を浮べ、リツカは聞きたくないと言わんばかりに目をそらす。
「え?ドラケンが死んだ!?」
『っ....』
「死ぬべき人じゃなかった。死ぬべきじゃなかったドラケンが死んで俺は汚ぇ金ではしゃいでる。」
アッ君はそういうと柵のない屋上の地面ギリギリに立つ。
「俺、憧れてたんだぜ。泣きながら踏ん張るお前に。」
「アッ君?」
「アオバ。俺お前のことずっと好きだった。いつも明るくて馬鹿みたいに真っ直ぐで、こんな俺に手を差し伸べてくれたお前が.....ずっと好きだった。」
『アッ君.....何言って』
「過去に戻ってお前らが助けたいのはアイツらか?」
「危ねぇよ。降りろよ。」
『アッ君。落ちちゃうよ。危ないって。』
「究極の愛だな...はは。頑張れよ。タケミチ。リツカ。」
『「!!」』
そう言ったアッ君の顔はどこか安らかで、笑いながら涙を流していた。
「みんなを助けてくれ。泣き虫のヒーローと泣き虫の天使様。」
『「ダメだよ!!アッ君!!」』
叫び出し、2人が手を伸ばした瞬間
アッ君は1歩前に踏み出し、フワリと下へ落ちていく。