第5章 ただいま現代
『ナオトがヒナや杏花が大切なように私はマイキーが同じくらい大切なの.....どうしようもないくらい大切なんだ。冗談でも殺せなんて言わないで.....』
弱々しい声で、リツカはそう呟くと、ナオトの胸ぐらから手を離す。
「......何故義姉さんが佐野を庇うのは分かりませんが、義姉さんにとって佐野が杏花と同じくらい大切な事はわかりました。僕が軽率でした。すみません。」
『.....ううん。私こそカッとなっちゃってごめんね。』
「いえ。」
気まずい空気が辺りを漂う。
しかし、それを打ち壊したのがタケミチのある一言だった。
「ナオト、リッちゃん.....マイキー君に会おう!」
『!?』
「そんな駄目ですよ!危険すぎます!」
「本人にあって聞いてみたいんだ。」
「何を聞いても無駄ですよ!」
「マイキー君は信用できる人間だ!!何で"東卍"が変わっちまったのか、本人に聞きたい。」
「......」
「もう一度過去に行く前に確かめておきたいんだ!」
「......」
「一緒にマイキー君を探してくれ!頼むよナオト。」
「......」
「仮に俺に話してくれなくても.....リッちゃんには....かつての仲間だったにはリッちゃんには話してくれると思うんだ。」
「かつての仲間?どういう意味ですか?」
「!.....それは....その。」
失言したとタケミチの顔色が悪くなる。
ナオトに至っては聞き捨てならないと顔が険しくなり、リツカとタケミチを睨みつけた。
『.....タケミチ。いいよ。どうせいずれはわかる事だから。』
「リッちゃん.....」
『ナオト.....12年前、中学時代の私は東京卍會の特攻隊長だ。』
「!?」
『隠すつもりはなかった....って言ったら言い訳かもしれない。でも、12年前の東京卍會はこんなんじゃなかった。少なくとも関係ない人間を巻き込むようなチームじゃなかった!
【一人一人がみんなの為に命を張れるチームにしたい。】
それが私たちが掲げた思いだ!』
「.....」
『お願い。ナオト。私はあの頃の東卍を取り戻したい。私に、私たちに協力して。』
「......はぁ。」
真剣なタケミチとリツカを見てナオトは大きくため息を付くとにっこりと笑った。