第5章 ただいま現代
「で、結局"佐野"と"稀崎"、2人を出会わせないミッションはどうなったんですか?」
「えっと、マイキーくんには会ったよ?」
「マイキー?あぁ、佐野ですね。」
「聞いてくれよ。ナオト.....マイキーは不良だけど良い奴でさ!」
「は?何で殺さなかったんですか?」
ナオトの顔が険しくなると地を這う声でそういった。
その言葉にタケミチはえ?と驚いた顔を、そしてリツカは眉にシワがよる。
「姉と杏花を殺した奴が良い奴?過去で言いくるめられたんですか!!」
「違う!」
「いいですか!?そのマイキーは今あらゆる犯罪に手を染めて、警察でも手に負えない男ですよ!出来ることならこの手で.....殺して───」
『ナオト!!』
"殺してやりたい"そう言おうとしたナオトを咎めるようにリツカがナオトの胸ぐらを掴みあげた。
ナオトを睨みつける目は酷く冷たく、殺気さえ感じられる。
2人はその瞳を見てゴクリと飲むと息が上手く出来なくなるのを感じた。
『ねぇ。ナオト。もし貴方がマイキーを殺すつもりだったり、それを私たちに命令するなら....
私は貴方たちに協力出来ない。』
「なっ!」
「リッちゃんっ!?」
「何故ですか!義姉さん!佐野は杏花を.....貴女の妹を殺しているんですよ!?」
『....そんなことぐらいわかってるよ。』
「なら、何故っ!!」
『っ....でも私はもうこれ以上マイキーの事も東京卍會も裏切りたくないっ....もう私はマイキーの悲しそうな顔をを見たくないのっ。』
「?これ以上?」
苦しそうな声が聞こえ、2人が視線を向けると、今にも泣きそうなほど顔を歪めたリツカが目に入る。
悲しそうに、そして苦しそうに訴えかけるリツカの背中は微かに震えており、それを見たタケミチは悲しそうに眉をひそめた。
一緒にタイムリープしたタケミチだからこそ、その気持ちが理解出来たからだ。
リツカは東京卍會の元特攻隊長。
きっとマイキーとは主従関係または友人に近かい関係だったのかもしれない。
その証拠に学校で見た、マイキーと話すリツカの表情は日向と同じ恋をする1人の少女それで優しい表情をしていた。
マイキーだってそうだった。
リツカを見つめるその瞳は慈愛に満ち溢れており、お互いの絆の深さを物語っていた。