第5章 ただいま現代
「走り行くぞ!リア。しっかり掴まってろよ。」
『う、うん!(暖かい....)』
リツカは頷くとマイキーの身体に手を回した。
その行動はどうやら正解だったのかマイキーはいつにも増してご機嫌になると、バブを走らせる。
暫く走っていると、見慣れた街並みから少し離れた川が流れる遊歩道でバイクが止まった。
「ん。着いた。」
『マイキー?いい物って?』
「まぁ。見てろよ。そろそろ時間だし。」
マイキーがそう言った瞬間
ヒュウゥゥゥゥゥ〜.....
ドオォォォォンッ!!
辺りに爆発音が鳴り響き、真っ暗だった空を美しく彩るほどの光の花が浮かび上がる。
『あ、花火だ!(花火なんていつぶりだろう!)』
リツカは遊歩道の柵まで走り出すと、食い入るように花火を見つめる。
その横顔はまだ幼さが残る14歳の少女の顔をしていた。
「(ほんと綺麗な顔してんな。)女みてぇ((ボソッ…」
わぁ〜と目を輝かせながら歓喜の声を上げるリツカを見つめ、マイキーは頬杖をつくと、リツカの顔へと手を伸ばす。
『見てよ!マイキー!すっごく綺麗!』
「!?」
手に気づいてかそれとも単に偶然か、マイキーの方に振り返ったリツカはまるで天使のような笑みを向ける。
その顔は目の前の花火よりも美しく、マイキーは一瞬目を見開いた。
『?どうした?』
「なんでもねー。(ほんとコイツを俺のモンに出来たらな....)」
マイキーはすぐに顔に笑顔を貼り付けると、リツカの頬に優しく手を当てる。
『ふふ。マイキーくすぐったいって!』
キャキャキャと笑いだすリツカをマイキーはどこが寂しそうな目で見つめると、リツカの左目にかかった髪の毛を耳へとかける。
「リア」
『ん?』
「やっといつものお前に戻ったな。」
『え?それってどういう.....』
「ここ最近のお前はずっと辛そーに笑ってたんだ。ちょっと目ぇ離すと疲れた顔してた。」
マイキーはそう言うとリツカの目元を指を腹ででなぞる。
「お前がお前じゃないみたいな感じがした。」
『!』
マイキーの言葉を聞いた瞬間
リツカの瞳が揺れた。
"バレた....."その単語が一瞬頭をよぎる。