第5章 ただいま現代
「今日はありがとな〜」
『ちゃんと復習はちゃんとしろよ!』
「へいへい〜あ、あとよォ。オフクロが悪かったな....」
『あぁいいよ。別に。多分冗談だろうし。』
「....」
『あ、圭介また手紙書くよね?ついででいいからこれ渡しといて。』
「本?珍しいな。」
『あ、うん。年少ってあんまり娯楽ないって聞いたから....』
「わかった。渡しとく。アイツも喜ぶだろうしな。」
『ありがとう!圭介!じゃあまた集会でね!』
「おう。気ぃつけて帰れよ。」
場地に見送られ集合団地を出ると、見慣れた街並みを歩く。
『なんか.....こんなにも穏やかな夜久しぶりだなぁ....(考えみればゆっくりする夜って久しぶりかも。)』
深く息を吸って吐き出すと、リツカは色とりどりの星が輝く空を見上げる。
『久しぶりに海にでも行こうかな.....』
「どこに行くって?」
『!?』
さっきまで誰もいなかったはずの背後から声が聞こえ、後ろを振り向くとCB250T(通称バブ)に股がったマイキーが姿があった。
『マイキー?なんでここに居んの?』
「バブで走ってたんだよ。でどこに行くって?」
『いや、海に行こうかなって....1人で。』
「は?この時間から?」
ピクリとマイキーの眉にシワがよる。
『え、ダメかな?夜の海って綺麗なんだよ?(1人で行ったことあるし....)』
「ダメ危ない。何かあったら、どーすんの。」
『どーするって....別にどうもしないけど?男のオレを襲う奴なんていないだろうし。』
「....」
マイキーは一瞬呆れたような表情を浮かべ黙り込むと、無言でバブから降りてリツカへと詰め寄った。
「お前さぁ、そうやっていっつも....危機管理能力どーなってんの?」
『?』
首を傾げるリツカにマイキーは大きくため息を吐くと、リツカの手を取りバブの方へと向かう。
『わ、わぁ!マイキー!急にどうしたの?引っ張らないでよ。』
「夜の海は危ないからダメ。でも、海なんかよりもっといいモン見せてやる。」
だから着いてこい。振り返りざまに笑顔を向けるマイキーにリツカは胸が高鳴るのを感じる。
掴まれたところが熱くて、逃げるように手をよじると逃がさないと言わんばかりに力を込められた。