第19章 羽折れの天使
「あ、あぁ.....お兄ちゃん......お兄ちゃん!!」
『(ヤバいッ)ゲホゲホゲホッ!!カハッ.....』
「あン?そんな強く殴った覚えはねぇぞ?」
『ゴホゴホっ!!ゴフッ!! 』
びちゃびちゃ!!
受け止めた手からこぼれ落ちた血は地面を赤く染めあげ、地に膝を着いてしまう。
それを見ていた杏花はあまりの光景に言葉を失い絶望した顔でその場に座り込んでしまった。。
するとそれを見ていたココがどこが面白いのか、笑いながらリツカの前に迫り、顎をくいっと上げた。
『ヒューヒュー.....カハッ!ゲホゲホゲホッ!!』
「リッカ。オマエそれ後遺症だろ?」
『ッ!?』ドキッ!
なぜコイツが後遺症のことを知っているんだ?
このことを知っているのは病院の医師と看護師そしてタケミチとソロモンのメンバーだけだ。
ソロモンのメンバーが情報を流すわけが無い。ならなぜコイツらが知ってる?
咄嗟にタケミチの方を見たが慌てて首を横に振っていた。
「リッカ.....後遺症ってどういうことだよ.....」
『知らない。なんっ、のことッ、ヴ...ゲホッゴホッゴホッ...!!』
「しらばっくれても無駄だ。オマエのそのネタは上がってんだよ。」
『ッ.....ゲホゲホッ!!』
「血のハロウィンで羽宮一虎に刺された後オマエはしばらく抗争に参加しなかっただろう?」
『それがどうした.....ッ。ここ最近わざわざ私が出向くような大きな抗争はなかった、はずでしょ。』
「ああなかった。でも普段のテメェだったらちょっとしたイザコザやシマ荒らしだって絶ッ対ェ参加してた。なんせ東卍では戦後処理やなんやらしてたからなぁ。最初はただ怪我が癒えてねぇからだと思ってた。でもよぉ。聞いちまったんだよ。下っ端の奴がな。」
『まさか!』
「看護師たちがテメェに後遺症が残るって話してるのをなぁ!!」
どこに目があるか分からない。
そうは思っていたが.....まさかそんなところから情報が漏れてしまうなんて思ってもみなかった。
私のこの後遺症は確実に敵チームへの利益となる。
それをわかっていたのに!何たる失態だろうか。
だが、バレてしまった以上仕方がない。
今更どうしようもないのだ。