第19章 羽折れの天使
『だから何?後遺症があったってアンタらには負けない。』
「その状態で良くもそんな事が言えたなぁ。血を吐き、地面に膝を着いたオマエにもう勝ち目はない。体が痛むだろ?もう諦めちまえよ。素直に俺たちの仲間になれ。そしたら幹部にしてやってもいいんだぜ?戦えなくても幹部の座に座れる。テメェを酷使する必要もねぇんだ。戦う力がなくとも俺たちはオマエが欲しい。オマエにはそれほどの利用価値がある。」
『ッ!』
パンッ!!
伸ばされた手をリツカは思いっきり叩き落とし、ギロリと鋭い視線をココや大寿に向けた。
『私は裏切らない.....何があってももうマイキーのそばにいるって決めたんだ!』
血が止まらない。
全身が痛い。
泣きたい。
誰か助けて欲しい。
そんな弱音がリツカの心からこぼれ落ちる。
それでも諦めたくなかったのはマイキーの存在が確かに私の中にあったからだ。
「なら死ね。蒼葉リツカ!」
『ッ!』
「お兄ちゃん!嫌!八戒君助けてよ!八戒君!!」
「ッ.....」
「杏花ちゃん!行ったらダメだ!」
「離して!離してよ!お兄ちゃん!お兄ちゃん!誰でもいいからお兄ちゃんを助けてよ!嫌あぁぁぁ────」
拳がリツカに向けられ振り下ろされようとする。
それを見た杏花は叫び嘆く。
しかし黒龍のメンバーはまるでそれを楽しむかのように笑っていた。
『(ヤバい......この状態じゃ避けれない!!死ぬっ!)』
「もうやめてくれ!兄貴!」
拳がリツカに当たる直前
黙り込んでいた八戒が声を上げた。
「あ゙!?」
「お願いだ!」
「ハッカーイ。人にモノを頼む時は交換条件が必要だろ!?」
その言葉に八戒はゴクリと固唾を飲んで拳を震わせた。