第19章 羽折れの天使
『ハァハァッ』
「なんだ?リッカ。息が上がって来てるゾ?」
ズキンズキン......
胸が痛い。どうやら動きすぎたようだ。
やっぱり"ブエル"と"マルバス"の言う通りだった。
本来なら大人しくしていけなければならない時期だ。それなのにこんなにも激しい喧嘩を繰り返しているのだ身体に負担がかからないはずがなかった。
だが、こんなところで白旗をあげる訳には行かない。リツカは口から流れた血を拭うとマーシャルアーツの構えを取った。
「マーシャルアーツか。合気道に柔道に空手、オマエ一体何個武術を習ってんだ?」
『今それ関係ある?』
この一撃で決めるしかない。
これ以上長引けば確実に私の方が後遺症で先に潰れるのは明白だ。
駆け引きなんてもうどうだっていい。
「殺る気満々だなぁ。この1発で終わらせる気か?」
『私も暇じゃないの。これでアンタを沈める。』
「いいゾ!かかって来い!潰してやるよ!」
『ほざけ!!』
ダンッ!踏み込みをしてマーシャルアーツを繰り出そうとした瞬間だった。
ゴッ!!鈍い音がしてリツカの蹴りが届く前に彼女の胸に拳が沈む。
『ガッ!!』
「ヒヒッ!」
『カハッ!!』
「お兄ちゃん!!」
「ダメだ!杏花ちゃん!行ったらアンタまで殺られる!」
「離して柚葉ちゃん!ダメなの!お兄ちゃんは!お兄ちゃんは!!」
『ッ!ゴフッ!!』
ボタボタ.....
リツカの口から大量の血が流れ落ちる。