第19章 羽折れの天使
『でももう今の私の中には"ムツカ"はいない。だから私を"渋谷の白い悪魔"や元仲間以外"ソロモン"なんて呼ばせない。呼んだ奴。知ってしまった奴には必ず口封じをさせて貰う。』
「!」
「いいねぇ。蒼葉リツカ。ますますオマエが欲しくなる。テメェは自分がどれだけ利用価値があるか知ってるか?」
『利用価値?そんなの興味無い。』
「オマエが一声かければ100人なんてざらじゃねぇ。東卍約450人に東京中の不良や元ソロモンの構成員.....合計約1000人もの不良を動かせるだけの力を持つカリスマ性を持った女に加えて警察ですら掴めない情報を意図も簡単に掴んでくるその情報収集能力。」
『!』
「どの族も喉から手が出るほどお前の事を欲している。灰谷兄弟、ガリマン、黒龍、ICBM、その他大勢の奴らがテメェを欲しくて欲しくて堪んねぇんだ。東卍なんかに置いておくのは勿体ねぇ。俺たちがオマエを有効活用してやる!」
『その言葉......私に勝ってから言いなよ。負けたらただの恥だよ?』
「負けるのはオマエだ!」
『勝つのは私だ。勝ってオマエにはユズ姉とタケミチを殴ったこときっちり謝らせる!!』
ダンッ!!お互いに勢いよく踏み込みを入れると、喧嘩が始まる。
大寿がリツカに対し拳を上げ、その拳を避けたリツカ大寿の横っ面を蹴り飛ばす。
「ツッ!!オラッ!」
『!?』
─────ゴンッ!!
カウンターに咄嗟にガードを入れて、防御をする。鈍い音がなり、リツカの体はいとも簡単に後ろへと飛んでいく。しかしリツカはまるで大道芸のようにくるりと一回転するとそのまま着地した。
『ッ!クッソ痛っ。受け止めた手がめっちゃ痺れてんだけど。やっぱ力じゃアンタには負けるか。』
「ヒャハハハハ!やっぱりさっきの奴とは桁違いの強さだなぁ!速さも強さも反応速度も全部が違ぇ!俺の顔に蹴りを入れるくらいだ。潰しがいがあるな!」
『お褒めに預かり光栄ね。』
そんな会話を繰り返しながら2人は拳を交える。
リツカはその俊敏性と転生のバネで大寿を翻弄していく。一方大寿はその体格差と力の差でリツカを押していった。
激しく長い戦いが繰り返される。
タケミチたちは何も出来ず見守っていることしかできなかった。