第19章 羽折れの天使
『大寿!!もうやめろ!!』
「あン?」
『遥か格下それにもう戦意喪失してる奴を痛めつける。それがオマエのやり方かよ!』
「テメェには関係ねぇだろ。それともなんだ?テメェも俺とやり合おうってか?」
『はっ。上等。』
正直勝てるか分からない。
でも目の前で大切な人を殴られて黙っていられるほど私はお人好しじゃない。
それにどちらにせよこの状況を打破するにはこの男を倒さなければならないだろう。
ならば覚悟を決めるまでだ。
「お兄ちゃん......ダメッ」
「リツカやめな!これはアタシたちの問題だ!」
『ユズ姉、杏花。大丈夫。私負けないよ。』
「「ッ!」」
そう笑って見せたリツカに2人とも何も言えなくなり、柚葉は掴んでいたリツカの手を離す。
『勝負だ。柴大寿。私が勝ったらユズ姉に謝ってこれ以上2人に手をあげないと誓え!』
「なら負けたらテメェは黒龍入り決定だな!」
『は?何でオレが黒龍に入らなきゃ行けないの。』
「オマエ自分がどれだけ裏で影響力があるか知らねぇのか?」
『知らない。てか興味無い。』
「相変わらずだな。自分の評価を気にしない不良なんてオマエくらいだぞ。」
『だから何。』
「"渋谷の白い悪魔"そして"ソロモン"」
ピクッ。
その言葉が告げられた時だった。
リツカが僅かにピク着くと、まるで鬼が憑依したような形相で大寿を睨みつけた。
その瞳はどす黒く濁っており、誰もがその瞳を見た瞬間、背筋に冷たいものが走り、喉元に刃を突きつけられる感触が襲う。
大寿以外の誰もがその殺気に恐怖を覚えたのだ。