第19章 羽折れの天使
「ドー」
あれだけ調子に乗っていた大所帯が一斉に男に対して頭を下げる。
「兄貴......」
「え?」
「────はド突くのドぉぉ」
「ゲホッゲホッ!!」
『タケミチッ!!』
「兄貴」
「ずりぃなテメェら楽しそうじゃねぇかよ!!オレも混ぜろ!!」
男はそういうとタケミチの胸ぐらを掴み軽々と持ち上げた。
「ヒャハハハハ!!」
ゴッ!!
「タケミチ君!」
「下がってな!!」
ガシッ。殴り飛ばされたタケミチをなんとか支えるとリツカは冷たい目で大男を見据えた。
コイツが八戒の兄貴
10代目黒龍の総長 柴 大寿
「.....で.....コイツ誰?」
「ハハ。知らねぇで殴ってたのかよ。さすがボス」
「金髪の男の方は東卍の壱番隊隊長 花垣武道だ。
そして白髪。ソイツは東卍の特攻隊改め、零番隊の隊長 蒼葉六花。通称リッカって言ったらわかるか?」
「ああ。あのリッカか。だが.....ハハハ。コイツが東卍の隊長?オイ!ココ。そりゃ面白い冗談だ。」
「本当だよ。若のツレらしい」
「ハハハ!そんなバカな!」
「!?」
ドッ!!
大寿が鈍い音を立てながらタケミチを蹴りあげた。
「じゃあ八戒は我が家へのこのこと東卍の奴を連れてきたのか?いくら言っても黒龍(こっち)に来ねぇのによう!!!」
ドサッ!!
『タケミチ!!タケミチ!?』
「だい、じょうぶ......」
打撃が強かったのだろう。完全に意識が飛びかけてる。
これ以上打撃を負えば、確実に死ぬだろう。
確実にオーバーキルだ。
何とかしてタケミチを守らなければ。
考えているその間にも拳が降ってくる。
リツカはタケミチの体を持ち上げたまま、華麗に避けるとヒナたちの所まで連れていき、大寿を殺気の籠った目で睨みつけた。