第19章 羽折れの天使
「いっ!?」
「弟に手ぇ出すんじゃねぇよ!」
「もうやめとけイヌピー。ボスの妹弟だ。」
「俺は大寿には忠誠誓ってけどコイツらに調子(チョーシ)こかれる筋合いはねぇぞ。どっちが上が教えてやる。女だとか関係ねぇ。」
殺気立つイヌピーにタケミチは覚悟を決めてヒナを守るように前に出て手を広げる。
そしてイヌピーがナイフを突きつけようとしたその時だった。
────ドンッ!
鈍い音と共に思いっきりイヌピーの腹にリツカの拳が沈んだ。
「ガッ!!」
あまりの衝撃にイヌピーは地面へと膝を着く。
『はっ。どっちが上?ふざけんじゃねぇぞ。黒龍の汚点が!シン兄の黒龍を汚したクズどもがのうのうと黒龍の名を語ってんじゃねぇよ!恥を知れ!』
「(リッちゃんが殺気立ってる......この人と昔何かあったのか!?)」
「オイ。テメェみたいなガキがシンイチロー君を語るんじゃねぇ。」
『それはこっちのセリフ。オマエなんかがシン兄を語るな。8代目の犬が!』
「やっぱ調子乗ってんじゃねぇか。テメェら全員殺してやる。」
コイツら
全然違う!!東卍とは根本的にマジで狂ってやがる!
相変わらず狂ってるな......8代目が腐らせた黒龍!
お互いの殺気をお互いに向けた。
「タケミチ、リツカ。逃げな!ヒナちゃんと杏花ちゃん。守れよ!」
『っ!でもそれじゃ!』
「大丈夫。アタシらは何とかなるから。」
『.....わかった。』
「ヒナ。キョウちゃん。行こう!」
「タケミチくん!後ろ!!」
「え?」
ヒナに言われて咄嗟に振り返ると真っ赤な特服を身を包んた大男がタケミチに向かって猪突猛進してきた。
そしてドゴッ!!と鈍い音を出しながら男はタケミチにラリアットをかました。