第19章 羽折れの天使
「(コイツ黒龍組じゃん!)」
「ん?どうした?オマエの事は隊長とリッカからよく聞くぜ!」
「(なんで"黒龍組"が東卍の副隊長!!?どーゆー事!?リッちゃん!)」
『(あちゃー混乱してるよ.....まぁあれ聞いた後だしね。ちゃんと説明したいところだけど.....今はそんな時間ないか。)』
混乱しているタケミチを哀れに思いながら、現代(ミライ)での一虎との会話を2人とも思い出す。
「【十一代目 黒龍総長 柴 八戒。噂では金の為に先代を殺して黒龍を乗っ取ったクソヤローだ。】」
『【その噂に信ぴょう性はあるの?八戒が金の為だけにそんなことするはずない。きっと何か理由があったんだよ。】』
「【だが、現に柴は黒龍を乗っ取って東卍を腐らせた1人だ。】」
「【金の為に人殺し.....!?】」
一虎くんはそう言ってたけど....
「俺ら今日から兄弟分な?タケミっち。今から家 来いよ!リッカは強制な!」
「は、はい」
『はいはい』
こいつがその柴 八戒。
ヤベェ奴に気に入られちまった......
でもリッちゃんが止めないって事はリッちゃんが言う通り、過去(今)のコイツは良い奴なんじゃ.....
「オマエと八戒が"兄弟分"なら姉のアタシの"弟分"になるな。」
柚葉はそう言いながら、タケミチ、ヒナ、リツカ、杏花を自分の家へと案内する。
「え!?姉弟なの!?」
「ジュース買ってこい。弟分だろ?」
『ユズ姉早速パシってるし』
「へー似てないですね。」
「オマエはなんで喧嘩弱そうなのに東卍の隊長はってんだ?」
「うっ(俺が気にしてる事を.....)」
柚葉の容赦ない一言にタケミチは苦虫を潰したような表情を浮かべる。
「どう考えても八戒の方が上に立つ器なのにコイツはその気が全然ない。」
「確かに!柴君強そう」
「背高いもんね!」
「ヒナ!?キョウちゃん!?」
「......」
「(ん?なんだ。この間は.....)」
一瞬異様に黙り込んでしまった八戒にタケミチは疑問を覚える。