第19章 羽折れの天使

「じゃ、始めるぞ。はい。玉」



『ありがとう。』



荷物を置き、八戒からボーリングの玉を受け取るとレーンの前に立つ。



「ストライク決めた方が勝ちな！」



『いつも通りね。了解。じゃあ行くよ！』



せーの！と2人でボールを手放した瞬間だった。



カーンという音が3重に重なる。



『(え？)』



八戒と一緒に音がなった方に目を向けると、唖然とし、棒立ちしたタケミチが立っていた。



「お！？なんか揃った.....息ピッタリだな！」



「ウケる」



「(デカっ！！って.....あれ？どっかで見た事.....)」



『あれ、タケミチとヒナ？』



「本当だ！ヒナちゃん！」



「あ！リッカ君と杏花ちゃん！どうしてここに？」



『2人こそ。』



「ヒナたちはデートだよ。2人は？」



『杏花と習い事サボって遊び中〜』



「サボっちゃダメじゃん。」



『たまの息抜きはいいでしょ。特に杏花は。』



探す手間が省けたな。と思いながらゆっくりとレーンの前から移動すると八戒の隣に立つ。



「あれ！？どっかで見たことあると思ったら、花垣......花垣.....リッカ！コイツ誰だっけ。」



『花垣タケミチ。通称タケミっち。圭介の代わりに新しく壱番隊の隊長になった奴。』



「そうそう！なんだよ....隊長になっていい気になってない？」



「え！？いやそんなことは......て言うかアンタ誰.....」



「俺は弐番隊 副隊長 柴 八戒だ！」



「え！！？」



「もう帰ろうよ！杏花ちゃんうちに招待したいし。」



「え、いや、あの！」



「ウッセッ！！レーンが俺を呼んでんだよ。それにまだリッカと勝負ついてねぇし！」



軽い言い争いをする2人を前にタケミチはあんぐりと口を開けて固まる。
まぁそういう反応になるよね。
だって今の八戒は12年前と全然違うんだから。