第19章 羽折れの天使
『....(丁度いいか。)杏花。』
「何?」
『遊びに行くよ。部屋で準備してきな。』
「はーい!」
ウキウキとしている杏花を連れ柚葉に指定された場所へ東堂に頼んで送って貰う。
「リツカ様ならともかく杏花様がサボりたいなんて珍しいですね。」
「たまにはそういう日もあるの!」
「そうですか。お迎えは何時頃がいいですか?」
『追って連絡する。』
「わかりました。でもあまり遅くならないうちに帰ってきて下さいよ。なんせ昨日の今日なんですから。特に坊ちゃんは。」
『「わかってるって。」』
ボーリング場まで送って貰うと受付を済ませ、2人は中へと入っていく。
『ユズ姉!』
「リツカ。やっと来た。遅いよ。」
『ごめんごめん。ちょっと準備に手間取っちゃって。』
「で、その子は?」
「は、初めまして。蒼葉杏花って言います。以後お見知りおきを..... 」
「蒼葉.....もしかしてリツカ。アンタの妹?」
『そうそう!前話した自慢の妹。』
「へぇ。この子が.....」
柚葉はいじっていたガラケーを閉じ、ポケットに入れると、杏花の前に立つ。
「アタシは柴 柚葉。リツカの姉貴分よ。」
「お兄ちゃんのお友達.....((ボソッ…」
「アンタ。リツカの妹なんでしょ?なら自動的に私の妹分ね。よろしく」
「は、はい!よろしく、お願いします.....」
「あ!リッカ。やっと来た!」
ガシッ!!ブンブン!!
嬉しそうな声と共に坊主の長身の青少年が走ってくると、リツカを抱き上げブンブンと振り回す。
それを見ていた柚葉はいつものごとく笑い、杏花だけが顔を真っ青にしていた。