第19章 羽折れの天使
リツカも2人を見送ると、席を立ちスクールバッグに教科書やら本やらを詰め込み、教室を後にした。
そして、とある潰れたゲームセンターへと足を運んだ。
コツコツコツ......と何も無い空間に靴の音だけが響きわたり、リツカは目の前の玉座のように飾られた椅子に座った。
するとこの時を待ってたかのように2人の青年が現れる。
「久しぶりですね。××××様。」
『"グシオン"か。久しぶりだね。相変わらず固いね。気楽でいいのに。』
「そうだぜ。"グシオン"。××××もこう言ってんだし気楽にしろよ。"ベレト"じゃあるめーし。」
『"アガレス"も久しぶりだね。元気にしてた?』
「俺チョー元気!××××は?東卍で元気にやってんの?」
『私も元気でやってる。』
「俺は貴女には救ってもらった恩があります。いくら貴女が年下でもタメ口なんて滅相もない。」
「うわぁー固っ」
「オマエがだらしないだけだ。」
『ふふ。2人とも相変わらずだね。みんなは元気?』
「元気にしてるぜ。でもアンタが羽宮一虎つーガキに刺されて死にかけた挙句、後遺症が残ったって"バアル"が言ってた。みんなアンタを心配してる。"ベレト"と"グラシャラボラス"なんて羽宮一虎殺すとか言ってて暴走しかけてたよ。今は何とか"ダンダリオン"が抑えてる。」
「“パイモン“も心配しすぎでどうにかなりそうでしたよ。貴女のお見舞いに行くって聞かなくて止めるのか大変でした。」
「みんな結構心配してるし、怒ってるからな〜それで大丈夫なのかよ。」
『大丈夫だよ。心配ない。"ベレト"と"グラシャラボラス"にも大事ないって伝えて安心するだろうから。あと一虎は殺さないでってね。"パイモン"には今度顔を見せに行くとしよう。』
「そっか。なら良かった。アイツらにもちゃんと伝えとくよ。他でもないアンタの言葉ならアイツらも収まるだろう。多分。」
『"ベレト"は暴走すると言う事聞かないからなぁ。心配だな。』
「皆は各地で貴女の為に目を光らせています。俺たちは貴女の忠実なる下僕ですから。」
『下僕じゃない。仲間。家族だよ。』
「貴女も相変わらずのようだ。でもそれでこそ貴女ですよね。」
"グシオン"と呼ばれた青年はそう言うと心做しか笑ったように見えた。