第19章 羽折れの天使
それからは休み時間や昼休みを返上して、自分の指先である零番隊やオトモダチを使って黒龍に探りを入れてみた。
しかし本当に些細な情報しか得られず、調査はすぐに滞ってしまった。
「リッちゃん?学校終わったよ。早く帰ろうぜ?」
『え、あ、うん。先帰ってて。私これから零番隊の調査報告聞いてから帰るから。』
「わかった。」
教室を出ていくタケミチを見送ると、フゥと息を吐いて自分の背後に目を向けた。
『よし。で?海國、海寿。どうだった?』
「「はい。」」
「黒龍の情報はあまりありませんでした。メンバーを1人捕まえて吐かせようとしましたが、拷問が何とかって言ってなかなか口を割りませんでした。」
『そっか。海寿の方は?』
「やはり黒龍は暴力で金稼ぎしてるみたいッスね。暴力団、闇金その他もろもろ。黒いやつらや金持ちに暴力を売りにして荒稼ぎしてるっぽいス。」
『そう。金を積んでも話はしなさそうだった?』
「上のメンバーは無理っすね。でも下のメンバーはそうでも無いと思います。完全に統率できてるかって言ったらそうでも無いっぽいっす。ただ悪には悪をって感じで裏切り者には拷問が行われてるみたいです。」
『ふーん。だから口を割らないわけね。流石殺人部隊を売り文句にしてるだけのかいはあるな。』
「はい。なのでこれ以上の情報は集まりませんでした。すみません。」
『いいよ。全然。調査ご苦労さま。大変だったでしょ?今日はゆっくり休んで。』
よしよしと2人の頭を撫でると2人は嬉しそうにそれを甘んじて受け入れ元気よく帰って行った。
『ってことはあの子たちに頼んだのは正解だったな。』