第19章 羽折れの天使
『ホントだ!ごめん杏花。ちょっと席外すね。』
「うん。行ってらっしゃい。」
バイバイとお互いに手を振ると急いでバルコニーに向かって歩き出した。
そしてバルコニーに着くと少しだけ深呼吸して通話ボタンを押した。
『もしもし.....』
《もしもし?やっと出た。》
『マ、イキー?どうしたの?今日集会じゃ....』
《今終わったとこ。リアは何してたの?大事な集会休んで。》
『それは.....えっと.....』
《後ろ騒がしいね。何?俺にも言えないこと?》
『そんな事ない!今日、パーティがあってそれに参加してるの。』
《パーティ?楽しそうじゃん。》
『そんなことない。パーティって言うのは名ばかりの集まりだし......』
《だし?》
『マイキーがいないと世界に色がないみたいに寂しいよ。』
《......》
『マイキー?』
急に黙り込んでしまったマイキーにリツカは一物の不安を抱き声をかける。
《何それ。俺がいないとダメって言ってるようなもんじゃん。》
『!?』
《リアは俺がいない時いつもそう思ってくれてるんだ。》
『あ!いや、それは言葉の綾って言うか!何と言うか!とにかく深い意味は無いから!』
《ふーん》
『〜〜〜〜っ!!とにかく楽しくないパーティなの!新事業の立ち上げパーティなんて私たち子供には分からないよ。』
《じゃあ抜け出してみる?》
『え?』
《今日さ、流星群が見えるだ。》
『流星群......?』
《オマエの願い事叶えに行こうぜ。》
ブンッ!!
エンジン音が聞こえ、下に視線を向けるとバブに乗ったマイキーがこちらを見上げていた。
『!』
幼い頃からヒーローなんて現れないと思っていた。
どんなにピンチになってもどんなに悲しくても、誰も私を助けてくれる人なんて居なかったから.....
でも、そうじゃ無かった。
ヒーローはいたんだ。
私の中の最強のヒーロー。
ずっとそばに居たんだ。