第19章 羽折れの天使
"蒼葉グループの頭脳"......
そうだ。私昔そう呼ばれてたんだっけ。
博識、聡明。幼い頃からそういった肩書きを載せられていた。
自分から望んだわけじゃない。全部あの人から教育されて得た肩書き.....
幼い頃から私はあの人たちの操り人形だった。あの人の言う道具だった。
昔から本を読むのが好きで、知識だけは豊富だった。その知識を蒼葉グループの為に使ってたらいつしかそう呼ばれるようになっていった。
本当はただ純粋に知識を学びたかっただけだけど.....
何時からだったけ?
グループの為や誰かのために知識を使うのが嫌になったのは.....
「ははは!ありがとうございます。親の私が言うのもなんですが、息子は昔から本を読むのが好きで博識でしてな。津田社のお役に立てて光栄です。」
『いえ。オレ.....なんて、お父様や津田様に比べればまだまだです。』
「ほほほ!ご謙遜を!今後ともその頭脳をお借りしたいものです。うちの息子にも見習って欲しいものですな。」
「俺がなんだって?クソ親父。」
まるで苛立ちと鬱陶しそうな態度を隠そうとしない青少年に津田浩二はさっきのふくよかな笑顔とは異なり鬼のような形相で怒鳴りつけた。
「龍二!何しに来た!オマエは部屋で反省していろと言ったはずだぞ!」
「別にいいだろ。うっせぇな。あン?オマエが蒼葉グループ総帥の自慢の一人息子。蒼葉リツカだな?へぇ。名前も女っぽけりゃ顔も女見てぇなだなぁ?女々しそ。でも悪くねぇ。俺様のモノにしてやっても良いんだぜ?」
『あはは。ご冗談がお上手なんですね。お初にお目にかかります。津田龍二殿。オレは今あなたが申されましたように蒼葉リツカと申します。』
「へぇ。オマエがあのマイキーのね。随分弱っちそうだなぁ!本当に喧嘩できんのか?芭流覇羅の裏切り者さん。」
『何のことでしょう?(コイツ私のこと知ってるのか。)』
「龍二!いい加減にしろ!オマエの身勝手な行動で蒼葉グループに喧嘩を売る気か!子供の喧嘩では無いのだぞ!誰か!コイツをつまみ出せ!」
「おいおい親父。それは無いぜ。」
「黙れ!失礼極まりない!このバカ息子が!」
津田浩二の怒鳴り声とともに現れた使用人たちが、龍二の両脇を抱えて、そのままズルズルと会場の外へと連れて行ってしまった。