第19章 羽折れの天使
「お嬢様.....申し訳ございません。」
『いいよ。東堂が悪いわけじゃない。上手く立ち回れなかった私の失態よ。』
「でも!」
『皮肉よね.....あの人たちからしたら私は人でもなんでもない.....ただの道具なんだって.....』
「.....そんな事はありません.....よ。」
『バカ。もっと自信持って言ってよ。ほら、行くよ。部屋で反省してろってさ。』
「はい。では、髪の毛をセットしましょうか。」
『うん。』
部屋に戻り、東堂の手で髪の毛に編み込みをしてもらい、髪をセットしてもらう。
いつも付けている花札ピアスから髪色と同じ白銀の羽のピアスをつけると少し腫れた頬を隠すためにメイクを施していく。
「坊っちゃん。終わりました。」
『ありがとう。』
────コンコン.....
「リツカおぼっちゃま。出発のお時間です。」
『そう。わかった。すぐ行く。』
椅子から立ち上がり、自分の身なりを整えると携帯をポケットの中に入れて部屋を出た。
「お兄ちゃん!」
『杏花。さぁ行こうか。』
「うん!」
車に乗り込むと既に父と母が座っており、揺られること数分夜会が開かれている会場へと車が止まり、使用人たちが案内してくれる。
「おお。これは蒼葉グループの方々ではありませんか。来てくださったのですね。」
「お久しぶりですな!元気にして居られましたか?新事業の開発成功おめでとうございます。ほらオマエも挨拶しろ。」
『お久しぶりです。津田浩二様。この度の新事業開発成功おめでとうございます。』
「おお。リツカ殿。ありがとうございます。貴方様の助言があったおかげで我々も成功したというものです。」
『助言.....ですか?』
「はい。実は新幹線のルートを迷っていた時にリツカ殿の的確なアドバイスがあって事業が成功しました。さすが"蒼葉グループの頭脳"ですな!」