第1章 始まりは最悪な形で
「え、その声.....まさかリッちゃん!!?」
『うん。』
「ええ!?嘘〜!」
「花垣く〜〜ん。店内で叫ばないでください。」
「スイマセン.....」
「ハイ!謝るだけ〜〜」
『あはは....なんか悪ぃな。私のせいでまた怒られちゃったな。』
「いや、全然いいよ!俺こそごめん。マジで一瞬誰かわからなかった。」
『え、そんなに?』
「だってリッちゃん。会う時いつも男装じゃん。そうじゃなくても男性物のスーツだったりするし。」
『あ〜そういえばそうだったな。いつも仕事帰りに飲みに来てたもんな。』
今気づきましたとあさっての方向を見るリツカにタケミチは呆れたような表情をうかべる。
「ところで何でリッちゃんここにいるの?」
『いやいやいや。タケミチが言ったんだろ?杏花の墓参りに行きたいって。時間見てみ?』
「え!?」
リツカに促され、タケミチは壁にかけられていた時計を見る。
するとリツカとの約束の時間より30分も遅れていた。
「うわ!ごめん!リッちゃん!すぐに着替えてくる!裏で待ってて!」
『りょうかーい』
ショップを出て、裏へと向かう。
そこで壁に寄りかかりスマホをいじっていると、息を荒くしたタケミチが裏口から出てくる。
服装は相変わらずと言っていいほどダサ....((殴ゲフンゲフン。
個性的な服装をしていた。
「ハァハァハァ.....ホントごめん....」
『バイトだったんだし仕方ないよ。で、どうする?先飯食う?』
「リッちゃん....お願いだからその顔で男口調で話さないで....俺は女だって知ってるし、素でいいよ」
『あはは...悪────ごめんね。つい癖で。』
「とりあえず先にお墓参り行こうぜ?」
『うん』
2人は人が混雑する街をぬけ、少し街から外れた集合墓地を訪れる。
そこには風化や苔まみれの墓石が立ち並び、その中に最近建てられたであろう一際綺麗な墓石の前へと向かった。