第19章 羽折れの天使
「っ!義姉さん」
『やめて.....もうやめて......もう聞きたくないよ......』
「リッちゃん.....」
『嫌.....もう何度目よ。何度も何度もみんな消えていく.....この手からみんな零れ落ちていく。なんで.....なんでよ!みんなが.....私が.....私たちが何したって言うのよ!!!もう見たくない!!みんなが居なくなるのを......みんなの死を見たくない!!嫌だ嫌だよぉぉぉ!!あ”あああっ────!!』
「辛いのは僕も一緒です。」
泣き崩れるリツカと声を荒らげるタケミチの前にナオトは立ち上がりと向かい合うように立つ。
「一緒じゃねぇよ!俺はオマエの姉ちゃんと嫁を殺したんだぞ!!もうやめようナオト!俺には何も変えられねぇよ!」
『マイキーも杏花もヒナもみんな死んでいく.....私たちじゃ運命をどうにもできない無理なんだよっ.....』
「義姉さん!タケミチ君!」
バッ!!ナオトはリツカを立ち上がらせるとタケミチとリツカを抱きしめた。
「僕はタケミチ君と義姉さんに救われた!何も出来なくなんかない!!.....僕は知っている最初の世界は東京卍會に龍宮寺 堅はいなかった。松野千冬も羽宮一虎も場地圭介も誰もいなかったんです。タケミチ君。義姉さん。彼らの想いがなかったらここまで東卍に食い込めなかった。」
肩を握りしめるとナオトは涙を溜めた目で2人に訴えかける。
「彼らの想いを紡いだのは君たちですよ!東卍を変えれるのも、姉さんと杏花を救えるのも君たちだけなんです!!」
────「最悪の世界を変えてください!タケミチ君義姉さん!!」
『.....』
「.....」
暫しの静寂が場を支配する。
するとタケミチは重々しく口を開いた。