第19章 羽折れの天使
「.....ナオト。おれは今回のタイムリープで東卍の壱番隊の隊長になって、リッちゃんは無事に特攻隊に戻ることが出来た。東卍のトップに一歩近づいたんだ。だから現代(こっち)は少しは良くなってると思ったんだ......でもやっぱりヒナとキョウちゃんは殺されてたし、その上ヒナとキョウちゃんを殺したのは俺だった。」
「.....これはあくまで推測ですが稀咲はわざと君に姉さんを殺させ、義姉さんに対する見せしめに杏花を殺したんじゃないでしょうか?」
『「え?」』
「おかしいと思いませんか?」
「こんなにタイムリープを繰り返しているのに全部で姉さんと杏花は東卍(キサキ)に殺されてる。」
『偶然なんじゃ.....』
「偶然.....?違う。偶然にしては続きすぎだ。稀咲は明らかにタケミチ君と姉さん、リツカ義姉さん、杏花に執着している!」
「【じゃあな.....俺の"ヒーロー"】」
「【じゃあな....俺の"天使チャン"】」
「あ」
『ってことは!』
ドンドンドンッ!!
『「!!」』
まるで急かすように扉がノックされる。
どうやらリツカが取調室を抜け出したことがバレたようだ。
「いろいろ対策を練りたいが時間がありません。タケミチ君はこれから留置所に移送されます。」
「留置所」
「この先3人で会うことは難しくなる。行くなら今しかありません!!」
「え!?でもっ」
「.....」
『.....』
「.....わかった.....」
「君と義姉さんと稀咲鉄太。3人に過去で何があったのか.....それが姉さんと杏花の死の謎を解く鍵です!」
2人はすぐに握手を交わしタケミチの身体から魂が抜けたように力が抜け、床に横たわった。