第19章 羽折れの天使
「アッ君に俺が人殺しの命令を.....?」
「次の動画です。これも松野千冬が隠し撮りしたものです。2人とも心して見てください。」
《あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!》
ガシャン!!
《やめろ!!タケミっち 》
《うるせぇ!》
《モノに当たってもしょうがねぇだろ!!》
《くそっ!ハメられた!稀咲は悪魔だ!!知らなかったんだ!!消す相手がアイツらだったなんて......リッちゃんに!リッちゃんになんて言えばいいんだよ!!》
画面の向こうのタケミチは静かに涙を流す。
そんな彼の姿はすごく痛ましかった。
「ナオト。もういい......」
「......僕たちは姉さんと杏花の事件に稀咲が関与した証拠を追っていました。この動画がその証拠です。」
「もういいって言ってんだろ!!?」
「松野千冬はこの動画を隠してました。彼は......君を庇ったんです。 」
ハァハァ......タケミチの息遣いだけが部屋の中に響き渡る。
「ハハハ.....今度は俺なんだな.....俺がヒナもキョウちゃんも......殺したんだな.....そうだろ?」
『違うよタケミチ。タケミチは利用されただけだよ。殺したのは稀咲.....だよ。』
「.....もういいよ。もうヤダよ.....何度目だよ.....?なんも変わってねぇじゃん。むしろもっと悪くなってる....俺がヒナとキョウちゃんを....」
『タケミチ.....』
「アッ君も!!千冬も!!みんな死んでいく!!場地君なんて12年経った今でも目覚めてなかった!どうにもなんねぇんだよ!!12年前の今日にしか戻れねぇんだから!どうやったって助けられねぇんだぞ!!?」
「喚いてなんになるんですか!!」
『2人とも!!もうやめてよ!!』
お願いやめて。とリツカは声を絞り出すようにそういうとその場にへたりこんだ。